18:15 〜 19:30
[STT53-P03] クラウド型微動観測システムの高度化
キーワード:常時微動, 極小アレイ, クラウドシステム, 地下構造モデル, S波速度
1.はじめに
地震動予測地図の高度化のためには、高精度な地盤モデルの作成は必要不可欠であるが、ボーリング調査や反射法地震波探査は、莫大にコストがかかるほか、データを面的に収集することは、これまでに取り組みはあったものの、非常に困難な状況である。一方で、近年、直接的な地震観測以外で地震時の揺れの周期特性や地盤の速度構造をある程度の精度でとらえることのできる常時微動観測が行われてきている。常時微動観測は、地震動予測のための地盤構造モデル作成に非常に有用な物理探査手法である。その観測の手軽さにより、ここ10年で各大学・研究期間では非常に多くの研究がなされている。しかしながら、研究そのものはバラバラの機材・考え方により各大学の小さな研究素材としてとじられており、データの共有等についても、ボーリングデータ以上に集約の難しい情報となってしまっている。動的な特性を得るには常時微動やPS検層・表面波探査のような観測が必要であるが、特にPS検層や表面波探査についてはコストがかかる上に観測者の能力や解析結果の解釈も難しく多くの観測は望めない。そのため、我々は、これまでに微動観測をデータの品質を保ったまま大量に観測を行うことを可能とする解析手法と機材・システム開発を行ってきている。本研究では、これまでの開発の経緯と現在の研究開発状況を報告する。
2.これまでの研究開発取り組みと現在の検討課題
我々は、これまでに微動観測システムの開発とその報告を多数行ってきている。先名・他(2006,2011)により、観測素人でも数時間のレクチャーを受けることで、熟練者の観測結果と遜色ないデータ精度での観測を可能とした。また、一昨年度までには、単点の微動観測を行うことで、その地点の揺れやすさの周期特性(Tg)・増幅特性等がわかり観測データそのものもデータベースに即時登録が可能な新しい常時微動探査システムも開発してきている先名・他(2012)。本システムは、現場においてデータ登録・解析等が完了するため、位置情報・写真情報・観測データ・時刻歴情報・解析結果等の登録時のヒューマンエラーが少なくなる仕組みとなっている。このような仕組みは、微動の機材の高価さ・これまでに観測を実施したことがない等、大部分の研究機関は観測を行いたい希望はあっても、研究活動が出来ないところに貸し出すことも目的としている。今後において、観測者の裾野の拡大を行い、データの均質化を行い、大量取得出来ることが新たな精度の高い全国ハザードマップ(ゆれやすさマップ)を作成していく礎になると考える。
3.新しい微動システム開発の取り組み
防災科研では、内閣府のSIPプロジェクト(戦略的イノベーション創造プログラム)、のレジリエントな防災減災機能の強化のうち、「SIP⑤リアルタイム被害推定システムの構築」の中で、地盤の揺れやすさを精度良くするための地盤モデルを広域(250mメッシュ)および一部の地域では詳細(50mメッシュ)で作成することが位置づけられており、その中で微動観測システムの高度化と観測を行う計画となっている。関東・東海地域全域の微動観測(主にアレイ観測)を大量に実施することにしており、微動観測システムの開発については、先名・他(2012)の微動観測システムでは、単点の微動観測について現場からデータ登録が出来るといったシステムであったが、そのシステムをアレイ観測に応用し、機材開発・システム開発・解析手法の検討をそれぞれ検討し実施する計画となっている。本報告では、平成26年度に研究開発を実施したシステムの概要を紹介する。
地震動予測地図の高度化のためには、高精度な地盤モデルの作成は必要不可欠であるが、ボーリング調査や反射法地震波探査は、莫大にコストがかかるほか、データを面的に収集することは、これまでに取り組みはあったものの、非常に困難な状況である。一方で、近年、直接的な地震観測以外で地震時の揺れの周期特性や地盤の速度構造をある程度の精度でとらえることのできる常時微動観測が行われてきている。常時微動観測は、地震動予測のための地盤構造モデル作成に非常に有用な物理探査手法である。その観測の手軽さにより、ここ10年で各大学・研究期間では非常に多くの研究がなされている。しかしながら、研究そのものはバラバラの機材・考え方により各大学の小さな研究素材としてとじられており、データの共有等についても、ボーリングデータ以上に集約の難しい情報となってしまっている。動的な特性を得るには常時微動やPS検層・表面波探査のような観測が必要であるが、特にPS検層や表面波探査についてはコストがかかる上に観測者の能力や解析結果の解釈も難しく多くの観測は望めない。そのため、我々は、これまでに微動観測をデータの品質を保ったまま大量に観測を行うことを可能とする解析手法と機材・システム開発を行ってきている。本研究では、これまでの開発の経緯と現在の研究開発状況を報告する。
2.これまでの研究開発取り組みと現在の検討課題
我々は、これまでに微動観測システムの開発とその報告を多数行ってきている。先名・他(2006,2011)により、観測素人でも数時間のレクチャーを受けることで、熟練者の観測結果と遜色ないデータ精度での観測を可能とした。また、一昨年度までには、単点の微動観測を行うことで、その地点の揺れやすさの周期特性(Tg)・増幅特性等がわかり観測データそのものもデータベースに即時登録が可能な新しい常時微動探査システムも開発してきている先名・他(2012)。本システムは、現場においてデータ登録・解析等が完了するため、位置情報・写真情報・観測データ・時刻歴情報・解析結果等の登録時のヒューマンエラーが少なくなる仕組みとなっている。このような仕組みは、微動の機材の高価さ・これまでに観測を実施したことがない等、大部分の研究機関は観測を行いたい希望はあっても、研究活動が出来ないところに貸し出すことも目的としている。今後において、観測者の裾野の拡大を行い、データの均質化を行い、大量取得出来ることが新たな精度の高い全国ハザードマップ(ゆれやすさマップ)を作成していく礎になると考える。
3.新しい微動システム開発の取り組み
防災科研では、内閣府のSIPプロジェクト(戦略的イノベーション創造プログラム)、のレジリエントな防災減災機能の強化のうち、「SIP⑤リアルタイム被害推定システムの構築」の中で、地盤の揺れやすさを精度良くするための地盤モデルを広域(250mメッシュ)および一部の地域では詳細(50mメッシュ)で作成することが位置づけられており、その中で微動観測システムの高度化と観測を行う計画となっている。関東・東海地域全域の微動観測(主にアレイ観測)を大量に実施することにしており、微動観測システムの開発については、先名・他(2012)の微動観測システムでは、単点の微動観測について現場からデータ登録が出来るといったシステムであったが、そのシステムをアレイ観測に応用し、機材開発・システム開発・解析手法の検討をそれぞれ検討し実施する計画となっている。本報告では、平成26年度に研究開発を実施したシステムの概要を紹介する。