日本地球惑星科学連合2015年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 M (領域外・複数領域) » M-IS ジョイント

[M-IS24] ガスハイドレートと地球環境・資源科学

2015年5月27日(水) 18:15 〜 19:30 コンベンションホール (2F)

コンビーナ:*戸丸 仁(千葉大学理学部地球科学科)、八久保 晶弘(北見工業大学環境・エネルギー研究推進センター)、森田 澄人(独立行政法人 産業技術総合研究所 地圏資源環境研究部門)

18:15 〜 19:30

[MIS24-P01] 日本周辺海域のメタンハイドレート資源量評価

*小林 稔明1 (1.独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構)

キーワード:メタンハイドレート, 三次元反射法地震探査, 高密度速度解析

JOGMECは、メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム(MH21)の資源量評価
グループの一員として、日本周辺海域のメタンハイドレート(以下、MHs)資源量評価を行っている。
JOGMEC保有の物理探査船「資源」により取得された二次元/三次元地震探査のマイグレーション断面の震探解釈を行い、MHs賦存の指標となる海底疑似反射面(以下、BSR)の分布、MHs賦存の鍵層となる砂層の分布、そして、BSR直上の砂層中の特徴的な強振幅反射波群に着目してMHsの抽出を行っている。また、MHsは高速度に対比されることがこれまでの知見として得られていることから、高密度速度解析を実施している二次元地震探査測線あるいは三次元地震探査エリアでは、その速度解析断面上の高速度異常との対比も行っている。
今回紹介する事例は、試錐情報のない三次元地震探査エリアでの震探解釈実施例である。
本スタディーエリアの特徴は、マイグレーション断面上の連続する反射波から、幾重にもうねる褶曲構造を示していることである。また、大きな落差はないが、断層によると思われる反射波のギャップも見られる。高密度速度解析断面からは、BSRを境とする明瞭な速度のコントラスト、BSR直上の高速度異常が確認できる。
三次元地震探査のマイグレーション断面の震探解釈結果から、マルチプルの砂の流れが推定され、それぞれが異なる時代、異なる堆積環境を示していることが考えられる。また、それらの振幅強度及び、高密度速度解析断面上の速度分布から、砂の不均質性(粒度及び、砂/泥比の違い)が示唆される。高密度速度解析断面上では、BSR直上の砂層中に特徴的な高速度異常が見られるが、これらは、砂層中であること、BSRの直上であること、そして、高速度異常であることから、MHsであると推定している。
以上のように、試錐により確認はされていないが、地震探査のマイグレーション断面の震探解釈、高密度速度解析断面の速度分布から予察的にMHsの分布が推定できる。そして、今後の試錐計画の策定に有益な情報になることが期待できる。今回は、三次元地震探査実施エリアの例であるが、二次元地震探査測線でも同様な解釈を行うことにより、三次元地震探査実施計画の策定資料となる。