日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

インターナショナルセッション(口頭発表)

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS01] Global Carbon Cycle Observation and Analysis

2016年5月24日(火) 15:30 〜 17:00 A03 (アパホテル&リゾート 東京ベイ幕張)

コンビーナ:*三枝 信子(国立環境研究所)、Patra Prabir(Research Institute for Global Change, JAMSTEC)、町田 敏暢(国立環境研究所)、茶谷 聡(国立環境研究所)、座長:三枝 信子(国立環境研究所)

16:00 〜 16:15

[AAS01-09] 東南アジア域におけるバイオマス・バーニング起源排出量のNO2カラム量への影響評価

*板橋 秀一1鵜野 伊津志2入江 仁士3黒川 純一4大原 利眞5 (1.電力中央研究所、2.九州大学応用力学研究所、3.千葉大学環境リモートセンシング研究センター、4.アジア大気汚染研究センター、5.国立環境研究所)

キーワード:東南アジア、バイオマス・バーニング起源排出量、NO2カラム量、衛星計測、領域化学輸送モデル

東南アジア域では,経済発展に伴って人為起源排出量の増大が懸念されているが,時期は乾季に限定されるもののバイオマス・バーニング起源排出量も人為起源排出量を上回るほど大きい.本研究では,衛星計測データと領域輸送モデルを用いて,2003年から2008年までの6年間を対象に,東南アジア域におけるバイオマス・バーニング起源排出量がNO2鉛直気柱量(以下,NO2カラム量)にどれほどの影響があるかを評価した.衛星計測データを解析した結果,東南アジア域のNO2カラム量は,12月から4月にかけて極大となる明瞭な季節変動をもつことがわかり,領域化学輸送モデルはそのような季節変動をほぼ再現できていた.本研究では,領域化学輸送モデルの排出量インベントリとして,人為起源排出量はREAS version 2.1,バイオマス・バーニング起源排出量はGFED version 3.1 を用いたが,衛星計測では3月にピークとなるカンボジアのNO2カラム量に対して,モデルは1月にピークとなった.この要因として,GFEDで考慮されているバイオマス・バーニング起源排出量の月変動に加えて,日内変動を考慮することの重要性が示唆された.
解析対象期間中では,2003年冬季から2004年初春にかけて最もバイオマス・バーニング起源排出量が大きかった.そこで,この期間を対象に,領域化学輸送モデルを用いてバイオマス・バーニング起源排出量を考慮しない感度実験を行った.その結果,東南アジア域における冬季から初春にかけてのNO2カラム量の季節変動にはバイオマス・バーニング起源排出量が大きく影響を及ぼしており,東南アジア域で期間平均すると約28%,3月には最大で58%寄与していることが評価された.