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[AAS12-P10] 地上からのリモートセンシングによる水蒸気の鉛直カラム量・高度分布観測の相互比較
キーワード:水蒸気、マイクロ波放射計、MAX-DOAS、CIMEL
水蒸気は自然起源の温室効果の約6割を占めるなど、地球の気候を決定する重要な役割を果たしている。対流圏中の水蒸気の鉛直カラム量(可降水量; PWC)や鉛直分布の定常連続観測を行うために、地上からのリモートセンシングは極めて有効であるが、定量的な評価は限られている。こういった背景の下、本研究では、2015年12月22-31日の10日間、千葉大学において3台の地上設置型のマイクロ波放射計(WVR1125、MP1502、MP1504)の同時観測を実施した。加えて、4台の多軸差分吸収分光法(MAX-DOAS)装置をそれぞれ東西南北に向けた4AZ-MAXDOASシステム、および、NASA AERONETのCIMELサンフォトメータによる観測も実施した。まず、10日間のうち比較的天気が安定していた25-31日の7日間に着目し、WVR1125を基準としてPWC値の差を算出したところ、マイクロ波放射計同士の比較では、検定定数の不確かさに起因して、約20%の系統的な差が見られた。一方、CIMELや4AZ-MAXDOASとの差は約10%以内と比較的小さいことが分かった。これらの結果を踏まえ、23-24日の降雨の前後において比較を行ったところ、降雨後はマイクロ波放射計同士において検定定数の違いでは説明できないほどの大きな差が生じていた。これは、降雨および降雨後にマイクロ波放射計のレドームに付着した雨滴による干渉の影響だと考えられた。この影響は雨が止んだ後、12時間残った。さらに、降雨直前に着目したところ、MAX-DOASがマイクロ波放射計の値に比べ過小となっていた事例が見つかった。MAX-DOASとMP1504による水蒸気の鉛直分布を比較したところ、MAX-DOASの感度が低い高高度(7-8km)に水蒸気を多く含んだ空気が移流したことが原因であることが示唆された。