日本地球惑星科学連合2016年大会

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口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-AS 大気科学・気象学・大気環境

[A-AS13] ミクロスケール気象現象解明にむけた稠密観測・予報の新展開

2016年5月23日(月) 09:00 〜 10:30 301A (3F)

コンビーナ:*古本 淳一(京都大学生存圏研究所)、常松 展充(東京都環境科学研究所)、荒木 健太郎(気象研究所)、座長:伊藤 純至(東京大学大気海洋研究所)

09:45 〜 10:00

[AAS13-04] クロスカントリースキー競技に資する多点気象観測法の開発

*大上 迪士1河原林 正思1岩館 奈々1寺岡 知美1渡辺 恭也1小林 ゆい1勝濱 直椰1藤原 啓数1古田 英輝1鈴木 元太1成瀬 延康1,2高橋 幸弘1,3 (1.北海道大学グローバルサイエンスキャンパス、2.北海道大学高等教育推進機構、3.北海道大学大学院理学研究院)

キーワード:多点計測、クロスカントリースキー、ワックス、XBee、snowpack

クロスカントリースキー競技において、気象データ、特に、気温、湿度、雪温などは雪面とスキー板との間の摩擦を軽減するために使用されるワックス選定に必須な情報である。通常、会場の一カ所の気象データを計測し、経験的にワックス選定を行っているのが現状である。しかしながら、本来、雪温、湿度などの気象条件は、コース内の日向、日陰、吹き溜まりなど、局地的に異なるはずであり、一箇所の気象データだけではコース内の全ての気象条件を加味したワックス選定にはならない。この欠点を補うために、シミュレーションソフトによりコース上の雪温を推定することなどは、外国のナショナルチームで試みられているが、極めて限定された箇所での計測値から推定しているのであり、実際の気象条件とどれほど一致しているかについては不明である。ゆえに、コース内の気象データを定量的に多点観測できれば、ワックス選定や試合の戦略に活かすことができる。
そこで、本研究では、1)クロスカントリースキー競技に資する多点気象観測法を開発すると同時に、2)動摩擦係数を計測出来る装置の開発を目的とする。本研究では1)に注力した。
具体的には、実際のクロスカントリー競技コース(北海道伊達市大滝)において、気温・湿度、および、日向・日陰を判別するための照度、雪面の状態に影響を与える風速値を1分毎に記録する多点気象観測システムを作製した。各種気象センサは自作し、コース内に数十個設置した。各気象データは無線通信(XBee pro)によりコーディネーターとなる機器(Arduino)で収集し、PCに記録した。さらに、得られた気象データを代表的なシミュレーションソフト(snowpack)を用いて、実測した気象データとの比較から、最適なワックス選定に活かす方法を考察した。