日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CC 雪氷学・寒冷環境

[A-CC20] 雪氷学

2016年5月25日(水) 13:45 〜 15:15 102 (1F)

コンビーナ:*大畑 哲夫(情報システム研究機構・国立極地研究所・国際北極環境研究センター)、堀 雅裕(宇宙航空研究開発機構地球観測研究センター)、鈴木 和良(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、杉山 慎(北海道大学低温科学研究所)、座長:縫村 崇行(千葉科学大学)

13:45 〜 14:00

[ACC20-01] アジア高山域における近年の不均一な氷河変動の要因

*坂井 亜規子1藤田 耕史1 (1.名古屋大学大学院環境学研究科)

キーワード:アジア高山域、氷河変動、気候変動、質量収支

近年海水準を上昇させる要因として、温暖化による山岳氷河縮小の影響が危惧されており、特にアジア高山域に分布する氷河は、将来人口増加が見込まれる中国やインドの給水塔としての役割があるため、その変動に注目が集まっている。このためアジア高山域の氷河はここ数年でICESatなどの衛星による氷河の変動が研究されてきた。特に明らかになったのは、氷河縮小の激しい横断山脈、ヒマラヤ南面とは対照的に、カラコラムや崑崙山脈の氷河は質量がほとんど変化していないということであった。
氷河変動は、気温と降水量の変動という外的要因のみではなく、氷河自身の持つ気候変動に対する応答という大きく分けて二つの要因からなる。アジアの氷河変動が地域毎に異なる原因として、これまで外的要因からの研究が主であり、カラコラムでは夏気温が下がっていることや、冬期降水量が増加していることが報告されてきた。また氷河の気候変動に対する応答に関しても行われてきたが、地域が限定的であった。そこで本研究では客観解析データのの中でも特に精度が高い気温に注目し、外的要因と氷河の応答の両面から解析を行い、近年の氷河変動の不均一さは、気温上昇が地域毎に異なるという外的要因よりも、氷河自身の持つ気温変動に対する応答が一様でないことが主な原因であることをつきとめた。