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[ACC20-08] 南極ドームふじのでのフィルン層構造の変態: 近赤外光の反射率と他の結晶組織構造や化学特性との関係の発達
キーワード:南極、雪、フィルン、変態、氷床
深層アイスコアの信号をよりよく理解するために、南極ドームふじのフィルンの対深度の発達を調査した。私達は、現地でおこなった4m深の掘削ピットのサンプルと、122m深のアイスコアを用いて、主要な結晶組織構造特性、たとえは、近赤外光反射率R、密度 ρ、マイクロ波帯での誘電率異方性 Δεと主要イオン成分の関係の発達を調べた。調査した深度範囲は氷床表面(0m)から122m深までであり、高分解能解析(mm~cm)をおこなった。氷床表面付近において、フィルンには以下の特性を見いだした:(i)R、ρや Δε の短区間の変動は、強い正の相関をもつ; (ii) Δε は、氷床表面直下(0.1m深)で0.03 – 0.07 の値をもつ; (iii) これらのR、 ρや Δε の特性は、主要イオンの分布と有意な相関をもたない。一方、深さが増大し、近年報告されてきた「密度クロスオーバー現象」(氷床中約20-30m深で、初期低密度層の変形速度が卓越する結果として初期高密度層の密度が初期高密度層の密度を追い越してしまう現象)が起こっても R と Δε のもつ正相関はわずかに減少するものの強く維持される。さらには、 R は海塩の指標であるNa+イオンと弱い負の相関を示すようになる。これらの事実が示唆することは以下である。近赤外光反射R(フィルン中の比表面積の目安)の特徴は、誘電異方性Δε (フィルン中の氷と空隙の幾何構造異方性の指標)とともに、気泡が孤立する深度(bubble-close-off)まで維持される。その過程で、近年報告されてきたようにNaClから解離したCl- イオンが結晶格子に入り込むことによってその部位の変形が促進され、RとΔε の関係はわずかに乱される(相関が弱められる)。本研究では、アイスコアのもつ近赤外の光学的な特徴は、氷床表面付近でおこる変態に直接の起源をもっていることを見いだした。