日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CC 雪氷学・寒冷環境

[A-CC20] 雪氷学

2016年5月25日(水) 15:30 〜 17:00 102 (1F)

コンビーナ:*大畑 哲夫(情報システム研究機構・国立極地研究所・国際北極環境研究センター)、堀 雅裕(宇宙航空研究開発機構地球観測研究センター)、鈴木 和良(国立研究開発法人海洋研究開発機構)、杉山 慎(北海道大学低温科学研究所)、座長:堀 雅裕(宇宙航空研究開発機構地球観測研究センター)

16:45 〜 17:00

[ACC20-12] クロスカントリースキー競技に資する摩擦係数測定装置の開発

*寺岡 知美1藤原 啓数1鎌田 夏実1荻野 由香1長谷川 陽子1明石 恵美1成瀬 延康1,2高橋 幸弘1,3 (1.北海道大学グローバルサイエンスキャンパス、2.北海道大学高等教育推進機構、3.北海道大学大学院理学研究院)

キーワード:クロスカントリースキー、摩擦係数

クロスカントリースキー競技では、雪面との間の摩擦が最適なスキー道具を競技開始までに準備できるかどうかが勝敗に直結する。スキーの摩擦に関する過去の研究では、スキー板と雪面間の摩擦係数(以下μ)がスキー板の材質と形状に関連しているとの報告がある。こうしたスキー板の形状や材質の選定については、事前に十分な準備が可能である。一方、μをさらに下げるためのワックスについては、これまで競技当日の気象条件によって経験的に選択されてきた。過去の報告によると、気温と雪温が異なる場合には、μが大きく異なり、例えば、気温1度、雪温-4度の時のμが0.05未満であるのに対し、気温7度、雪温0度の時にはμが0.10以上になる。本来、この気象条件を科学的に定量的に計測した結果から、最も滑りが良いワックスの選定がなされるべきであり、さらに、そのμを会場において確かめることが望ましいはずである。ところが、過去に実験室レベルでμを測定した報告はあるものの、装置が大掛かりである点において競技会場で利用するには難があった。
本研究では、1)スキー板と雪面間の動摩擦係数を競技会場で実測できる装置の開発、及び、2)動摩擦係数に影響を与えるクロスカントリースキーコース内の多点気象観測法の開発を目的とする。本研究では、1)に注力した。
計測方法としては、対馬らの研究を参考にした。5Kgのおもりを乗せたスキーを滑車により直角に曲げ、フォースゲージに接続、電動リールを用いて一定速度で1m引っ張った。この時のフォースゲージにかかる張力を1/10秒毎に測定し、記録した。この平均張力をFとし、μ=F/5(Kg)×9.8の式から動摩擦係数μを導出した。その結果、ワックス毎の動摩擦係数を会場で計測できるようになった。