日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CC 雪氷学・寒冷環境

[A-CC21] アイスコアと古環境変動

2016年5月25日(水) 09:00 〜 10:30 102 (1F)

コンビーナ:*川村 賢二(情報・システム研究機構 国立極地研究所)、竹内 望(千葉大学)、阿部 彩子(東京大学大気海洋研究所)、大藪 幾美(情報・システム研究機構 国立極地研究所)、座長:竹内 望(千葉大学)、阿部 彩子(東京大学大気海洋研究所)

09:30 〜 09:45

[ACC21-03] 南極内陸ドームふじ次期氷床深層アイスコア掘削計画での「最古の氷」掘削地点の選定

*藤田 秀二1,2川村 賢二1,2東 久美子1,2本山 秀明1,2ドームふじ アイスコアコンソーシアム3 (1.大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立極地研究所、2.総合研究大学院 複合科学研究科 極域科学専攻、3.ドームふじアイスコアコンソ-シアム)

キーワード:南極、氷床、アイスコア

国立極地研究所を中心とした日本の氷床アイスコアの研究グループは、第Ⅸ期(2016~)およびそれ以降の南極地域観測事業のなかで、南極ドームふじ近傍において80万年(現存最古のドームCコア)を大きく超える年代のアイスコア(仮称:第3期ドームふじ氷床コア)の掘削につながる諸活動を実施する。今後の観測のなかでは、掘削候補地域における氷床表面及び内部層、底面状態の精緻な調査を行い、深層掘削地点を選定し、その上で深層コアの取得に向けたパイロット孔掘削とケーシング、浅層〜中層深度までの深層ドリルによる掘削を目的としている。より古い氷に到達するための掘削地点の選定にかかる条件を以下に列挙する。
(i) 氷床底面が凍結していること。
(ii) 氷床の流動によって層位が乱されることなく底面付近の氷床の層構造が維持されていること。
(iii) 氷期・間氷期にわたって表面質量収支が概ね正であること。
(i)の条件を満たすには、南極内陸部では氷床下に高地が存在する必要がある。東南極内陸部ドームふじ近傍では、氷床の厚さが概ね2850mより薄いとき、氷床底面が凍結していることが観測により明らかにしてきた。南極ドームふじの南方約50kmに、氷床の厚さが概ね2200mの地域があり、その底面は凍結していることをこれまで明らかにした。(ii)の条件を満たすには、現在の氷床頂部に近い地理的位置である必要がある。南極ドームふじの南方約50kmは、その条件を満たす。80万年を大きく超える古さの氷の層は、氷床底面付近の5%程度の厚さに圧縮されていると考えられるため、そうした氷の存在条件やレオロジーを調べることも今後のアイスコア掘削調査の目的となる。(iii)の条件に関しては、氷床探査レーダーの内部層の状況から概ね満たされることを確認している。
掘削候補地点については、1997年より既に予備的な調査を行っていた。これまでの調査によって掘削候補地点を絞り混み、その地点での氷床浅層コアの掘削をおこなってきた。今後、候補地点近傍の数キロメートル四方の領域についてさらに詳細な基盤地形調査をおこない、最終的な深層掘削候補地点を決定する。