日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CC 雪氷学・寒冷環境

[A-CC21] アイスコアと古環境変動

2016年5月25日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*川村 賢二(情報・システム研究機構 国立極地研究所)、竹内 望(千葉大学)、阿部 彩子(東京大学大気海洋研究所)、大藪 幾美(情報・システム研究機構 国立極地研究所)

17:15 〜 18:30

[ACC21-P02] アイスコアに含まれる花粉を利用した植物種の古代ゲノム解析の可能性

*中澤 文男1陶山 佳久2伊村 智1本山 秀明1 (1.国立極地研究所、2.東北大学)

キーワード:氷河、アイスコア、花粉分析、DNA、ロシア・アルタイ山脈

氷河から見つかる花粉は、他の堆積物試料から見つかる花粉と異なり、細胞内物質(原形質)を残存しているものが多い。氷河中の花粉をDNA分析しその遺伝情報が得られれば、花粉を種レベルで同定したり、遺伝的多様性の解析が可能となる。そしてそれはアイスコアから過去の植生変遷や森林生態系を古気候・古環境と関連づけて議論できることになる。そこで本研究では、全ゲノム増幅法を用いて、試料に含まれるマツ属花粉1粒ずつから遺伝情報の取得を試みた。花粉試料は、ロシア・アルタイ山脈にあるベルーハ氷河にて、2003年夏に採取したピット試料とアイスコアに含まれていたマツ属花粉を用いた。花粉は1.8-1.9 m深と45.3-45.9 m深、101.5-101.7 m深から集められ、それぞれ2002年、1923年、1600年代に氷河上に沈着したものと考えられた。分析の結果、暫定的な値であるが、塩基配列の取得成功率は2002年の花粉が24%(n=21)、1923年のものは13%(n=68)、1600年代のものは26%(n=19)であった。