日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CC 雪氷学・寒冷環境

[A-CC21] アイスコアと古環境変動

2016年5月25日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*川村 賢二(情報・システム研究機構 国立極地研究所)、竹内 望(千葉大学)、阿部 彩子(東京大学大気海洋研究所)、大藪 幾美(情報・システム研究機構 国立極地研究所)

17:15 〜 18:30

[ACC21-P05] 退氷期における南大洋の大気海洋変動に対する両半球の氷床融解水の役割

*小長谷 貴志1阿部 彩子2,1 (1.東京大学大気海洋研究所、2.海洋研究開発機構)

キーワード:南極氷床、南大洋、間氷期、退氷期、氷床融解水

気候変化に対する南極氷床の応答を理解するためには、過去の南極氷床変動との対比による検証が欠かせないが、たとえば直近の間氷期である最終間氷期の高い海水準を説明できるような氷床の後退と、完新世に西南極氷床が解け残った理由をモデルは説明できていない。西南極氷床を後退させるには、現在よりも南極域の海水温が高く、棚氷底面融解速度が大きいことが必要であることが氷床モデルから言われているが(Pollard and Deconto 2009, Sutter et al., 2016)、最終間氷期の日射と温室効果ガスを与えた気候モデル実験では、これを説明するのに十分な海水温の上昇はみられない(Lunt et al., 2013; Otto-Bliesner et al., 2013)。これに関して、最終間氷期の前の氷期からの北半球氷床の融解水が北大西洋に流入し、熱塩循環を弱めて両半球間の熱分配をかえたり (Holden et al., 2010)、南極氷床の融解水が直接南大洋に(Golledge et al., 2014)、もしくは北半球氷床の融解水の影響が南大洋に伝わることによって南大洋の成層を強め(Dome F community members, 2016, submitted)亜表層の水温をあげることが南極棚氷融解に効きうることがこれまでの研究から示されている。しかし、退氷期の北半球及び南半球の淡水流入に対する南大洋への影響は十分調べられていない。そこで、気候モデルを用いて退氷期の北半球及び南半球の淡水流入に対する南大洋への影響を調べる。現在気候、最終氷期、退氷期それぞれの大気海洋場のもとで、現実の海水準上昇に近い淡水を北大西洋と南大洋に流入させた実験をそれぞれ行って、南極域の大気海洋場の応答とその時間発展を解析する。