日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

インターナショナルセッション(ポスター発表)

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG06] Multi-scale ocean-atmosphere interaction in the tropics

2016年5月24日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*東塚 知己(東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学専攻)、Qu Tangdong(University of Hawaii at Manoa)、長谷川 拓也(独立行政法人海洋研究開発機構)、名倉 元樹((独) 海洋研究開発機構)、時長 宏樹(京都大学防災研究所・白眉センター)、清木 亜矢子(海洋研究開発機構)、大庭 雅道(電力中央研究所 環境科学研究所 大気海洋環境領域)

17:15 〜 18:30

[ACG06-P02] Long-term modulation of the quasi-decadal scale variation in the tropical Pacific during the 1990s and 2000s

*長谷川 拓也1永野 憲1 (1.海洋研究開発機構)

キーワード:quasi-decadal scale variation, El Nino/Southern Oscilaltion, tropical Pacific

熱帯太平洋に存在する準10年変動(QD変動)とエルニーニョ・エルニーニョモドキおよびラニーニャ・ラニーニャモドキ(経年スケール変動)の関係について、1990年代と2000年代の比較を行い、赤道太平洋からフィリピン海を含む熱帯太平洋の大気海洋に関する長周期変調に関する知見を得た。まず、中部赤道太平洋 (Nino-3.4 region) の海面水温偏差のQDスケール成分を指数として、その正偏差が持続する期間をQD変動のQD positive periodと定義した。1990年代と2000年代において、QD positive period期間におけるQDスケールの海面水温偏差の合成図をそれぞれ作成した。1990年代および2000年代の合成図はともに過去の研究で指摘されたように、エルニーニョモドキに似た分布(すなわち、中部赤道太平洋で正の海面水温偏差、フィリピン海で負の海面水温偏差)を示した。QDスケールの海面水温偏差の振幅を1990年代と2000年代で比較すると、中部赤道太平洋の正偏差は2000年代の方が大きく、フィリピン海の負偏差は1990年代の方が大きいという違いが見られた。このQDスケールにおける相違と経年スケール変動との関係を探るために、経年スケールの海面水温偏差に関して、エルニーニョ・エルニーニョモドキの合成図解析を1990年代と2000年代のQD positive periodにおいてそれぞれ行った。その結果、1990年代の方が2000年代と比べて、中部赤道太平洋の正偏差とフィリピン海の負偏差の両方において振幅が大きいエルニーニョモドキ的なパターンが見られた。一方、ラニーニャ・ラニーニャモドキに関しては、1990年代では中部赤道域およびフィリピン海で負偏差が見られ、2000年代では中部赤道太平洋で1990年代よりも弱い負偏差、フィリピン海では1990年代とは異なり正偏差となっていた。以上のことから、1990年代は経年スケールのエルニーニョ・エルニーニョモドキに関係する中部赤道太平洋の正偏差およびフィリピン海の負偏差が2000年代よりも大きかったが、ラニーニャ・ラニーニャモドキに関しては1990年代ではフィリピン海および中部赤道太平洋において負偏差の値が大きかったために、QDスケールでは2000年代はフィリピン海の負偏差が1990年代よりも弱く、中部赤道太平洋の正偏差が1990年代よりも強くなったと考えられる。講演では、気象庁が長期間にわたり実施している東経137度沿いの観測ラインで得られた水温データや大気再解析データなどの解析結果を示し、さらに議論を行う予定である。