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[ACG10-06] 将来の宇宙からの降水観測ミッションについて
キーワード:降水観測、人工衛星
レーダ技術の観点から考えると、降水レーダ技術は日本が唯一有しているが、成熟してきていることから、今後はより安価な小型レーダ衛星を開発するのも1つの道である。コストを抑えて様々な国が購入できるようにすることにより国際協力によるレーダのコンステレーションが可能となり、一気にレーダ観測が広がると考える。現在の最新の技術(特に、窒化ガリウム半導体素子を用いた送信アンプと送受信にパルス圧縮技術)を応用することにより、例えばDPRのKu帯レーダ(KuPR)の4分の1の開口面積にした場合でも高度800kmで約20dBZの感度が可能である。ただし、水平解像度は約20kmとなる一方で走査幅800km程度にすることも可能である。この場合、軌道傾斜角を30度以下に設定すると熱帯地域では3−6時間ごとにデータを取得できることになり、ダイレクトにレーダの情報をGSMaPに導入することも可能になる。
一方で科学的な目的を押し進める場合には、DPRに現状の最新の技術を導入することにより、DPRよりも10dBZ程度感度を向上し、走査幅を約2倍にすることがすぐにでも実現可能である。技術的な最終ゴールとしては、静止軌道からの降水レーダによる観測となる。現在のレーダの技術と直径約30mのアンテナを用いることにより、約20dBZの感度でほぼ常時(1時間ごと)に降水システムを観測することが可能となる。ただし、水平分解能は約20kmとなる一方で、ドップラー速度観測が容易になる。このシステムが利用可能となれば、台風の時間変化を的確に捉えることが可能になるなど、防災面での利用や気象予報へのインパクトは大きい。