17:15 〜 18:30
[ACG10-P02] 地上レーダデータを用いたGPM/DPRの降水強度の評価
キーワード:全球降水観測計画、二周波降水レーダ、XバンドMPレーダ
1.はじめに
2014年3月より,全球降水観測計画(Global Precipitation Measurement)のGPM主衛星の運用が行われている.GPM主衛星は二周波降水レーダ(DPR)を搭載しており,DPRは比較的強い雨の観測に優れるKuPRと,比較的弱い雨や雪などの固体降水の観測に優れるKaPRの2つのレーダから構成されている.DPRを搭載した人工衛星による降水観測は初の試みであり,観測結果については十分な評価が必要である.そこで本研究では,地上レーダによる観測結果として国土交通省の運用するXRAINに着目し,DPRの観測結果との比較を行う.また,両者の観測結果の違いについて評価を行う.
2.比較方法
XRAINは国土交通省の運用している地上降水レーダである.従来の広域レーダと比較して高頻度(1分間隔),高解像度(250mメッシュ)の観測が可能であり,2016年2月現在で日本の14箇所にて運用が行われている.この研究では,九州北部にて運用が行われているレーダに着目し,DPRの観測結果との比較を行う.DPRとXRAINは解像度が異なっているため,DPRのフットプリント内のXRAINの降水強度の平均を算出し,DPRの降水強度と比較を行う.なお,DPRの降水強度は,地表面のクラッターの影響を受けない高さのものを用い,プロダクトのバージョンはV03Bを用いた.
3.降水強度の比較
DPRとXRAINの降水強度観測結果について比較を行う.DPRとXRAINの観測範囲が重なっており,なおかつ降水の観測された事例は,2014/6~2016/1の間で現在46ケース見つかっている.この章では,2015/07/07 03:27(JST)(DPR orbit:7703)に観測された事例について示す.図1にXRAINとDPRの降水強度を示す.全体的にXRAINのほうが降水強度は強くなっており,降水の観測された範囲にも違いが見られる.また,XRAINの降水強度は放射状に広がる線状の分布が見られる.図2はXRAINとDPRの降水強度の散布図である.X軸に内挿したXRAINの降水強度,Y軸にDPRの降水強度を示している.また,赤いプロットが層状性降雨,青いプロットが対流性降雨を示している.図より,全体的にXRAINのほうにプロットが集中しており,バイアスの値もマイナスの値となった.
4.全マッチアップ事例の比較
この章では,全マッチアップ事例を使った比較結果について示す.図3にXRAINとDPRの降水強度の散布図を示す.灰色のコンターは各観測点の結果,赤いラインはXRAINの降水強度に対するDPRの降水強度の平均値を示している.図より,全体的に降水強度はXRAIN側に過大評価となっており,平均値のラインもXRAIN>DPRとなっている.要因としては,着目している高さが異なる点,XRAINがレーダ中心から離れるほど推定精度が減少する点が挙げられる.DPRは降水の3次元データを取得できるため,今後は着目高さを合わせた比較を行う予定である.
5.結論
GPM主衛星は2014年2月より運用されている.DPRによる観測は初めての試みであり,観測結果の評価が必要である.そこで,地上レーダXRAINの観測結果に着目し,DPRとXRAINの降水強度について比較を行った.結果,XRAINの降水強度が過大評価される結果となった.要因としては,着目高さと地上レーダからの距離が挙げられる.今後は,着目高さを統一した比較を行う予定である.
2014年3月より,全球降水観測計画(Global Precipitation Measurement)のGPM主衛星の運用が行われている.GPM主衛星は二周波降水レーダ(DPR)を搭載しており,DPRは比較的強い雨の観測に優れるKuPRと,比較的弱い雨や雪などの固体降水の観測に優れるKaPRの2つのレーダから構成されている.DPRを搭載した人工衛星による降水観測は初の試みであり,観測結果については十分な評価が必要である.そこで本研究では,地上レーダによる観測結果として国土交通省の運用するXRAINに着目し,DPRの観測結果との比較を行う.また,両者の観測結果の違いについて評価を行う.
2.比較方法
XRAINは国土交通省の運用している地上降水レーダである.従来の広域レーダと比較して高頻度(1分間隔),高解像度(250mメッシュ)の観測が可能であり,2016年2月現在で日本の14箇所にて運用が行われている.この研究では,九州北部にて運用が行われているレーダに着目し,DPRの観測結果との比較を行う.DPRとXRAINは解像度が異なっているため,DPRのフットプリント内のXRAINの降水強度の平均を算出し,DPRの降水強度と比較を行う.なお,DPRの降水強度は,地表面のクラッターの影響を受けない高さのものを用い,プロダクトのバージョンはV03Bを用いた.
3.降水強度の比較
DPRとXRAINの降水強度観測結果について比較を行う.DPRとXRAINの観測範囲が重なっており,なおかつ降水の観測された事例は,2014/6~2016/1の間で現在46ケース見つかっている.この章では,2015/07/07 03:27(JST)(DPR orbit:7703)に観測された事例について示す.図1にXRAINとDPRの降水強度を示す.全体的にXRAINのほうが降水強度は強くなっており,降水の観測された範囲にも違いが見られる.また,XRAINの降水強度は放射状に広がる線状の分布が見られる.図2はXRAINとDPRの降水強度の散布図である.X軸に内挿したXRAINの降水強度,Y軸にDPRの降水強度を示している.また,赤いプロットが層状性降雨,青いプロットが対流性降雨を示している.図より,全体的にXRAINのほうにプロットが集中しており,バイアスの値もマイナスの値となった.
4.全マッチアップ事例の比較
この章では,全マッチアップ事例を使った比較結果について示す.図3にXRAINとDPRの降水強度の散布図を示す.灰色のコンターは各観測点の結果,赤いラインはXRAINの降水強度に対するDPRの降水強度の平均値を示している.図より,全体的に降水強度はXRAIN側に過大評価となっており,平均値のラインもXRAIN>DPRとなっている.要因としては,着目している高さが異なる点,XRAINがレーダ中心から離れるほど推定精度が減少する点が挙げられる.DPRは降水の3次元データを取得できるため,今後は着目高さを合わせた比較を行う予定である.
5.結論
GPM主衛星は2014年2月より運用されている.DPRによる観測は初めての試みであり,観測結果の評価が必要である.そこで,地上レーダXRAINの観測結果に着目し,DPRとXRAINの降水強度について比較を行った.結果,XRAINの降水強度が過大評価される結果となった.要因としては,着目高さと地上レーダからの距離が挙げられる.今後は,着目高さを統一した比較を行う予定である.