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[ACG15-05] 渦相関法と間隙水鉛直プロファイルを用いたサンゴ礁海草帯堆積物のアルカリ度フラックスの観測
キーワード:海洋酸性化、アルカリ度フラックス、マグネシウム方解石
海洋酸性化によって海水中のpHおよび鉱物の飽和度は低下する。そのため、炭酸塩堆積物の溶解は石灰化生物による石灰化よりも敏感に応答すると言われている(Eyre et al. 2014)。特に海草帯の炭酸塩堆積物は、多様な酸化還元環境で起こる豊富な有機物の分解によるCO2分圧増加のため溶解反応が起きやすくなり、その結果、堆積物から水柱方向のアルカリ度Fluxが大きくなると考えられる。そこで本研究では、白保サンゴ礁海草帯の堆積物中の間隙水鉛直プロファイルを観測し、堆積物―水柱でのアルカリ度FluxをDOの渦相関法を用いて求めた。調査地域の堆積物は、有孔虫由来のMg-calcite(16.4Mg mol%)が半分以上を占めていた。夜間では堆積物中深度4mm以下では酸素が枯渇していて硫酸還元が起こりうる環境だった。アルカリ度と全炭酸は深くなるにつれ増加、pHは深くなるにつれ減少していたが、aragonite飽和度(Ωarg)は30mm以深ではおよそ2.3で一定であった。一方、渦相関法を用いたアルカリ度Fluxを計算したところ、有孔虫のMg-calciteに対して過飽和条件下でも、夜間では堆積物から水柱方向の0.9–3.2 mmol m-2 hr-1のアルカリ度Fluxが観測された。今後、海洋酸性化が進むと、よりMg-calcite溶解と硫酸還元によるアルカリ度フラックスが増加すると考えられる。