日本地球惑星科学連合2016年大会

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ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG15] 沿岸海洋生態系──2.サンゴ礁・海草藻場・マングローブ

2016年5月24日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*宮島 利宏(東京大学 大気海洋研究所 海洋地球システム研究系 生元素動態分野)、渡邉 敦(東京工業大学 大学院情報理工学研究科 情報環境学専攻)、梅澤 有(長崎大学)

17:15 〜 18:30

[ACG15-P05] 西表島網取湾における塊状サンゴ分布と波高、土粒子量、水深との関係

*下川 信也1河野 裕美2村上 智一1水谷 晃2柴山 拓実3山本 結子2鵜飼 亮行4中瀬 浩太4 (1.国立研究開発法人 防災科学技術研究所、2.東海大学 沖縄地域研究センター、3.筑波大学 大学院 生命環境科学研究科、4.五洋建設株式会社 環境事業部)

キーワード:塊状サンゴ、波高、土粒子、水深、西表島、網取湾

網取湾は西表島の北西部に位置する湾長数kmの湾である。湾に至る陸路がなく、周辺にはひとが住んでいないため、人工的影響のない多様な自然環境が維持されている。実際、湾内にはサンゴが広範囲に分布し、そのサンゴの形態、大きさ、種は場所により異なっており、サンゴ分布と物理環境との関係を調べるには最適の場所のひとつである。
我々は、その網取湾においてサンゴ分布調査と海洋大気河川観測および海洋波浪モデルを用いた数値計算により,主に卓状および枝状サンゴの分布と物理環境の関係を調べてきた(Shimokawa et al. 2014)。
本発表では、網取湾における(卓状および枝状以外の)主要形態である塊状サンゴに焦点をあてる(下川ほか. 2015)。まず、サンゴ分布、海水温、塩分、河川流量のデータを得るために観測調査を行い、波高と土粒子の時空間分布を得るために、それらの観測データを利用して、海洋、波浪、土粒子追跡モデルによる数値実験を行った。
結論は以下の通りである.i. 塊状サンゴ被度と水深は反比例する.ii. 塊状サンゴ被度と他形態サンゴ被度は反比例する.iii. 塊状サンゴ被度と平均波高は弱い比例関係にある iv. 塊状サンゴ属数・被度と土粒子量はそれぞれ反比例・比例する.ⅲについては,塊状サンゴはその形状と頑丈な骨格から波に強く,かつ両岸の平均波高差が小さいため,弱い比例関係となり,ⅳについては,少土粒子量の西側では多様なサンゴ属が生息可能であるが,多土粒子量の東側では粘液による土粒子除去能力に優れるハマサンゴ属以外は生残しにくいため,上記のような関係になったと考えられる.
References:
Shimokawa S., T. Murakami, A. Ukai, H. Kohno, A. Mizutani and K. Nakase, 2014, Relationship between coral distributions and physical variables in Amitori Bay, Iriomote Island, Japan, J. Geophys. Res.: Oceans, 119, 8336-8356 (doi: 10.1002/2014JC010307).
下川信也・河野裕美・村上智一・水谷晃・柴山拓実・山本結子・鵜飼亮行・中瀬浩太,2015,西表島網取湾における塊状サンゴの分布と物理環境の関係,土木学会論文集B3(海洋開発),71,969-974.