日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG22] 陸域生態系の物質循環

2016年5月25日(水) 13:45 〜 15:15 101B (1F)

コンビーナ:*加藤 知道(北海道大学農学研究院)、平野 高司(北海道大学大学院農学研究院)、佐藤 永(海洋研究開発機構 地球表層物質循環研究分野)、平田 竜一(国立環境研究所)、座長:佐藤 永(海洋研究開発機構 地球表層物質循環研究分野)

15:00 〜 15:15

[ACG22-16] 陸域生態系の温室効果ガス収支に関する統合評価モデル

*伊藤 昭彦1,2 (1.国立環境研究所、2.海洋研究開発機構)

キーワード:温室効果ガス、気候変動、陸域生態系

陸域生態系における温室効果ガス収支の変化は、気候変動に対する正または負のフィードバック過程として作用する。温暖化研究のための排出シナリオ作成、地球システムモデルによる予測、影響評価、緩和策評価の各段階で陸域生態系の温室効果ガス収支を、なるべく高い信頼度で推定する必要がある。グローバルな陸域生態系モデルは、従来は最も温暖化への寄与度が高いCO2収支を主に推定してきた。近年ではCH4やN2Oの放出・吸収過程を組み込んだモデルが開発されており、国外での例としてはDLEMやTRIPLEX-GHGがある。国内では演者らによるVISITの開発例があり、ここではその内容を主に紹介する。CO2と比べて、CH4やN2Oは放出源の種類が多く、その空間分布に偏りが大きいことが分かっている。従って、場所によってはCO2ではなくCH4やN2Oが温室効果ガス全体の収支を決定している場合がある。また、陸域生態系が長期的にCO2の吸収源となってきたのに対し、CH4やN2Oの放出量は増加傾向にあると考えられており、気候変動に対するフィードバック機能に量的・質的な変化をもたらす恐れがある。グローバルな温室効果ガス収支の統合解析を行っているGlobal Carbon Projectでは、以前よりCO2収支を取りまとめてきたが、最近ではCH4とN2Oについても作業を進めている。このような状況を主にモデル研究の観点から紹介し、最後に今後の課題について議論を行う。