15:00 〜 15:15
[ACG22-16] 陸域生態系の温室効果ガス収支に関する統合評価モデル
キーワード:温室効果ガス、気候変動、陸域生態系
陸域生態系における温室効果ガス収支の変化は、気候変動に対する正または負のフィードバック過程として作用する。温暖化研究のための排出シナリオ作成、地球システムモデルによる予測、影響評価、緩和策評価の各段階で陸域生態系の温室効果ガス収支を、なるべく高い信頼度で推定する必要がある。グローバルな陸域生態系モデルは、従来は最も温暖化への寄与度が高いCO2収支を主に推定してきた。近年ではCH4やN2Oの放出・吸収過程を組み込んだモデルが開発されており、国外での例としてはDLEMやTRIPLEX-GHGがある。国内では演者らによるVISITの開発例があり、ここではその内容を主に紹介する。CO2と比べて、CH4やN2Oは放出源の種類が多く、その空間分布に偏りが大きいことが分かっている。従って、場所によってはCO2ではなくCH4やN2Oが温室効果ガス全体の収支を決定している場合がある。また、陸域生態系が長期的にCO2の吸収源となってきたのに対し、CH4やN2Oの放出量は増加傾向にあると考えられており、気候変動に対するフィードバック機能に量的・質的な変化をもたらす恐れがある。グローバルな温室効果ガス収支の統合解析を行っているGlobal Carbon Projectでは、以前よりCO2収支を取りまとめてきたが、最近ではCH4とN2Oについても作業を進めている。このような状況を主にモデル研究の観点から紹介し、最後に今後の課題について議論を行う。