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[ACG24-08] ロシア水文気象環境監視局の航空機による北極・西シベリア域における大気環境観測
キーワード:北極圏、航空機、大気環境、ロシア水文気象環境監視局、西シベリア
西シベリアを含む北極域は、地球温暖化の影響を最も敏感に受ける地域である。そのため、同地域での継続的で総合的な大気環境の観測が求められている。そのためには、航空機による観測が非常に有力な手段となる。近年、ロシア水文気象環境監視局(ROSHYDROMET)は、新規にYakovlev-42D型の大型航空機(写真)を導入し、“Airplane-Laboratory”と呼んで、その運用を中央高層大気観測所(CAO)に託した。この航空機は、ロシア領土内の北極域からシベリア上空を研究のために飛行できる唯一の大型航空機である。一方、日本ではGOSATやGCOM-C1などの衛星プロジェクトが進行中であり、これらの衛星と上記航空機との同時運用が、北極域の総合的な研究に大いに貢献するものとして期待されている。そのため、2014年11月7日に東京大学大気海洋研究所とROSHYDROMET/CAOとの間で研究協力協定を締結した。2015年11月23-24日にはキックオフミーティングをモスクワで開催し、この枠組みの中で行う飛行計画やデータ利用方法についての議論をスタートした。“Airplane-Laboratory”の機内は、1)気象要素、2)気体・エアロゾル(ライダー含む)、3)放射(イメージャー含む)、4)放射線、5)雲微物理量、6)レーダーの6つの区画に分かれ、対流圏の気体、粒子状物質を総合的に観測できるよう、様々な観測機器を搭載している。気体成分としては、CO2, CH4, O3, NO, NOx, NOy を個別に測り、キャビティリングダウン分光分析装置(CRDS) も搭載する。エアロゾルは、0.06-3.0µm 間の粒径分布、雲凝結核、黒色炭素(BC)などを測定する。雲微物理量については、各種プローブを搭載して雲粒粒径の他、粒子形状も記録する。放射計は紫外域から熱赤外域をカバーし、ライダーは上向き、イメージャーは紫外域から近赤外域をカバーする。ロシア側からは、ガスと BC の測定精度向上のために、CRDS とブラックカーボン単一粒子測定方法 (SP2) の校正について、日本側の協力を期待されている。航空機の飛行時間は、2014年は計200時間、2015~2033年(計20年間)は500時間/年とされているが、日本との共同観測への割り当て時間については、現在、協議中である。