日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-CG 大気水圏科学複合領域・一般

[A-CG24] 北極域の科学

2016年5月26日(木) 15:30 〜 16:45 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*川崎 高雄(国立極地研究所)、森 正人(東京大学大気海洋研究所)、佐藤 永(海洋研究開発機構 地球表層物質循環研究分野)、津滝 俊(国立極地研究所国際北極環境研究センター)、羽角 博康(東京大学大気海洋研究所)

15:30 〜 16:45

[ACG24-P12] 北極圏北東シベリアのインディギルカ川低地におけるヤナギの分布様式

*両角 友喜1樊 荣1新宮原 諒1鷹野 真也1シャクマトフ ルスラン1鄭 峻介2小林 秀樹3鈴木 力英3Maximov Trofim4,5杉本 敦子6,1 (1.北海道大学大学院 環境科学院、2.情報・システム研究機構 国立極地研究所、3.国立研究開発法人 海洋研究開発機構、4.ロシア科学アカデミーIBPC、5.ロシア北東連邦大学BESTセンター、6.北海道大学 地球環境科学研究院)

キーワード:植生、氾濫原、NDVI、GIS

温暖化と生育期間の増加は、北極圏の落葉性のツンドラ低木のより高い一次生産や生育域の拡大をもたらすことが知られている。しかし、高頻度で攪乱を受けるヤナギやハンノキなど優占する河岸生態系は生産力の高い植物種からなるため炭素循環に重要であると考えられているが、その広がりは十分に理解されているとは言えない。北東シベリアの低地氾濫原にはヤナギが大きな面積を占め、地上部バイオマス大きいと考えられるが、正確な見積もりはなされていない。そこで、本研究では北東シベリアの河川氾濫原において、両岸に広がるヤナギ植生を衛星画像分類とGISによって捉え、氾濫原のヤナギの分布様式とNDVIについて知見を得ることを目的とする。
東シベリアのチョクルダ周辺の10km四方において2013年7月に観測されたWorldView-2衛星画像を、地上植生観測データを基に分類し、高解像な植生図と衛星観測したNDVI値を得た。ヤナギ植生の分布と河川からの距離の関係をGISの空間解析によって示した。ヤナギ植生が10km四方の観測地域の約1/6を占めインディギルカ川本流周辺に特に大きな広がりを見せた。このことは、本流沿いの広いエリアに春の洪水の影響が及び、そこにヤナギが分布していることを意味している。また、河川沿いヤナギ植生のNDVIは他の植生クラスに比べて大きな値を示し、この地域の生産量に大きな影響を及ぼしていると考えられる。