日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 A (大気水圏科学) » A-HW 水文・陸水・地下水学・水環境

[A-HW17] 水循環・水環境

2016年5月25日(水) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*樋口 篤志(千葉大学環境リモートセンシング研究センター)、長尾 誠也(金沢大学環日本海域環境研究センター)、林 武司(秋田大学教育文化学部)、内田 洋平((独)産業技術総合研究所地質調査総合センター)

17:15 〜 18:30

[AHW17-P07] 冬季に急速に発達する南岸低気圧に対する日本海上空のメソ擾乱の影響

永井 将貴1、*樋口 篤志1 (1.千葉大学環境リモートセンシング研究センター)

キーワード:南岸低気圧、メソ擾乱、水蒸気

本研究では,冬季に頻発する南岸低気圧の急速な発達に対し,同じく日本海上空の日本海寒帯気団収束帯 (JPCZ)上に出現しやすいメソαスケールの擾乱が与える影響について,事例解析およびコンポジット解析を行ない評価を試みた.利用したデータはJRA-55 および MSM である.南岸低気圧抽出は地上更正気圧を用いた低気圧抽出アルゴリズムを,日本海上のメソ擾乱抽出には平滑化した900hPa の相対渦度をそれぞれ用いた.事例解析では,温暖前線前面から日本海側に向かう対流圏下層の強い東風が特徴的であり,太平洋上空から日本海上空への熱・水蒸気輸送の様子が確認できた.統計的な特徴を捉えるために,低気圧中心でコンポジット解析を行った.メソ擾乱を伴うケースと伴わないケースの差分では,メソ擾乱に向かう下層東風が明瞭に現れており,水蒸気収束の差分ではメソ擾乱の存在の有無で約23%の水蒸気が低気圧中心に流れずにメソ擾乱に向かうことが明らかになった.一方,単純にメソ擾乱の有無で南岸低気圧の発達率の比較を行った際には有意な差は認められなかったが,それぞれのケースに対し,異なる物理量(メソ擾乱無:見かけの水蒸気減少 [Q2],メソ擾乱有:日本海の可降水量)を用いて分離することにより,南岸低気圧の発達率に対するメソ擾乱の影響について定性的に説明することが可能となった.