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[AOS14-05] 西部北太平洋亜寒帯循環域における沈降粒子の窒素安定同位体比の季節変化
キーワード:窒素同位体比、懸濁・沈降粒子、表層窒素循環、生物ポンプ
2010-2012年に亜寒帯循環域定点K2(47°N,160°E)において5回の航海観測および係留式セジメントトラップ実験を実施し、懸濁粒子および沈降粒子の窒素安定同位体比(δ15N)の季節変化について検討した。懸濁粒子は浅層海水(水深0-200 m)から採取し、沈降粒子は漂流式トラップ(100-200 m:DST粒子)と係留式トラップ(200, 500 m:MST粒子)によって捕集した。どの粒子のδ15N値も冬季に高く夏季に低い傾向を示し、植物プランクトンによる季節的な硝酸消費に伴う分別効果では説明できなかった。この変化は、光依存性を持つ硝化反応(アンモニア酸化)に起因したアンモニアδ15N値の季節変化を反映していたと考えられる。このことは、浅層で生産され下層へ沈降する粒子δ15Nが、季節的に大きく異なる混合層内の平均光環境を指標していることを示唆する。これは、DST粒子のδ15N値と基礎生産力の間に見られた高い負相関(r2 = 0.94)からも支持された。この関係を水深500 mで捕集したMST粒子の時系列δ15Nデータに当てはめることで、基礎生産力の月別変化を検討した。推定した基礎生産力は65-550 mg m-2 d-1の範囲で変化し、2月に最小値、7月に最大値をとった。更に水深500 mにおける有機炭素フラックスの月別データを用いて輸出生産率(e-ratio)を算出した。11-5月に比べて7-10月はe-ratio が1.6-1.8倍大きく、成層期に効率的な有機炭素輸送が生じていることが明らかになった。