日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

インターナショナルセッション(口頭発表)

セッション記号 B (地球生命科学) » B-AO 宇宙生物学・生命起源

[B-AO01] Astrobiology: Origins, Evolution, Distribution of Life

2016年5月24日(火) 15:30 〜 17:00 A01 (アパホテル&リゾート 東京ベイ幕張)

コンビーナ:*小林 憲正(横浜国立大学大学院工学研究院)、山岸 明彦(東京薬科大学生命科学部)、大石 雅寿(国立天文台天文データセンター)、田近 英一(東京大学大学院新領域創成科学研究科複雑理工学専攻)、掛川 武(東北大学大学院理学研究科地学専攻)、井田 茂(東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻)、Voytek Mary(NASA Headquarter)、Kirschvink Joseph(Division of Geological and Planetary Sciences, California Institute of Technology, Pasadena, CA, USA)、座長:田近 英一(東京大学大学院新領域創成科学研究科複雑理工学専攻)、掛川 武(東北大学大学院理学研究科地学専攻)

16:00 〜 16:15

[BAO01-09] Epimerization of oligopeptides induced by radiation rays

*胸組 虎胤1 (1.鳴門教育大学大学院学校教育研究科自然系コース(理科))

キーワード:epimerization, oligopeptides, gamma rays

生命体を構成するタンパク質は翻訳直後にはL型という片手構造(ホモキラル)のアミノ酸から構成されている。化学進化の過程でタンパク質の元となるポリペプチドがホモキラルになった過程は解明されていない。多くの仮説が提示されているが,ポリペプチドの単量体であるアミノ酸の片手構造の生成を説明する仮説が多い。本研究ではアミノ酸からポリペプチドが生成する過程にあるオリゴペプチドの物性と反応性に注目した。特に,オリゴペプチドにγ線や放電などの放射線が作用したときのエピ化反応が起こり得るか,さらに,エピ化反応の速度がジペプチドの構成比にどのような影響があるかを調べた。
鎖状および環状のアラニンジペプチド(Ala-Ala)の水溶液またはその結晶にγ線(1-24 kGy)を照射し,アキラルまたはキラルカラムを装着したHPLCで反応液を分析した。鎖状L-Ala-L-AlaおよびD-Ala-L-Alaの1mMにγ線を照射した溶液では分解とエピ化が同時に進行した。pH2の反応液を用いた場合には両者の分解速度定数には大きな違いは見られなかったが,L-Ala-L-Alaからの線量当たりのエピ化速度定数は0.017 kGy-1, D-Ala-L-Alaからは0.0033 kGy-1となり差が見られた。これはホモキラルペプチドの方がヘテロキラルペプチドよりエピ化しやすい条件であり,ホモキラリティーの濃縮に適さないことが示唆された。しかしながら、環状ジペプチドを用いた反応ではヘテロキラルペプチドはホモキラルペプチドよりエピ化しやすいという結果が得られた。