日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

インターナショナルセッション(ポスター発表)

セッション記号 B (地球生命科学) » B-AO 宇宙生物学・生命起源

[B-AO01] Astrobiology: Origins, Evolution, Distribution of Life

2016年5月24日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*小林 憲正(横浜国立大学大学院工学研究院)、山岸 明彦(東京薬科大学生命科学部)、大石 雅寿(国立天文台天文データセンター)、田近 英一(東京大学大学院新領域創成科学研究科複雑理工学専攻)、掛川 武(東北大学大学院理学研究科地学専攻)、井田 茂(東京工業大学大学院理工学研究科地球惑星科学専攻)、Voytek Mary(NASA Headquarter)、Kirschvink Joseph(Division of Geological and Planetary Sciences, California Institute of Technology, Pasadena, CA, USA)

17:15 〜 18:30

[BAO01-P05] Attempt to the structure determination of unsaturated archaeol derivatives characteristic for the halophilic archaea lipid-core produced at very high salt concentration

*山内 敬明1 (1.九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門)

キーワード:halophilic archaea, lipid-core, structure determination

アーキアは全て特徴的な脂質コアであるアーキオール(C20イソプレノイドジエーテル)を持っている。さらに好塩性アーキアは5炭素長いC25イソプレノイドを一つ持つC25-C20 ジエーテル(1)を生産する。これはC25イソプレノイドがグリセロールの二級水酸基側(C-2)に結合していることがすでに報告されている[1][2]。
アーキオールのイソプレノイドが二重結合を幾つか持つような誘導体の存在が,好熱性[3]および好冷性アーキア[4]で報告がされていた。近年Dawsonらは幾つかの超好塩性アーキアでは,アーキオールとC25-C20 ジエーテルおよびその不飽和体(例えば構造2が推定されている)が生産され,高塩分培養条件下で不飽和化合物の割合が増加することを報告した[5]。一方この文献ではC25-C20 ジエーテルでは構造3(C25イソプレノイドがグリセロールの一級水酸基側(C-3))が示されていた。なおこの構造3は彼ら以外の幾つかの文献でも散見される。
私はこれまでアーキアおよびバクテリアにおけるジエーテル脂質の構造解析法の検討の過程で,不均等なジエーテルを持つ脂質コアの合成法を開発した[6]。そこで比較的容易に合成可能な1と2を合成し,構造解析から1の構造を確認するとともに,不飽和ジエーテルの構造推定を行うこととした。
現在1と2について合成を完了し,1についてはDawsonの報告しているC25-C20 ジエーテルとTMS化体のマススペクトルが完全に一致することを確認した。ここでこれまで培養微生物由来試料で得られたC25-C20 ジエーテルはすべて1に相当する異性体であることを検証できた。また合成品2のTMS化体とDawsonの報告している化合物のマススペクトルを比較することで,不飽和ジエーテルの正確な構造が推定できるものと考えており,報告を予定している。
[1] De Rosa et al., J. Gen. Microbiol., 128, 343 (1982).
[2] Morita et al. Biosci. Biotech. Biochem., 62, 596 (1998).
[3] Franzmann, System. Appl. Microbiol., 11, 20 (1988).
[4] Hafenbradl, System. Appl. Microbiol., 16, 165 (1993).
[5] Dawson et al. Org. Geochem., 48, 1 (2012).
[6] Yamauchi Res. Org. Geochem., 29, 71 (2013).