日本地球惑星科学連合2016年大会

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口頭発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-PT 古生物学・古生態学

[B-PT05] 地球史解読:冥王代から現代まで

2016年5月25日(水) 10:45 〜 12:15 105 (1F)

コンビーナ:*小宮 剛(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻)、加藤 泰浩(東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻)、鈴木 勝彦(国立研究開発法人海洋研究開発機構・海底資源研究開発センター)、座長:山本 伸次(横浜国立大学大学院環境情報研究院)

11:15 〜 11:30

[BPT05-09] 中国東北部鞍山地域における東山片麻岩の産状とそのU-Pbジルコン年代

*上原 啓幹1小宮 剛2山本 伸次4昆 慶明3李 毅兵5金 巍6 (1.東京大学大学院理学系研究科地球惑星科学、2.東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻、3.独立行政法人産業技術総合研究所、4.横浜国立大学大学院環境情報研究院、5.中国地質科学院地質研究所、6.吉林大学)

キーワード:太古代、ジルコン、アンシャン

北中国地塊は38億年以前の大陸地殻物質が存在する世界でも数少ない場所の一つである。その38億年の年代値を示すジルコンは遼寧省鞍山地域に産する花崗岩質片麻岩(白家坟; Baijiafenおよび東山; Dongshan地域)から報告されている(Liu et al., 1992; Song et al., 1996)。一方、Wu et al. (2008)は、U-Pb年代分析やHf同位体分析の結果から、38億年の年代を示すジルコンはinheritedであり、原岩の年代は33億年前であると解釈している。このように、鞍山地域の片麻岩の起源は、ジルコンのU-Pb年代分析、HfやO同位体分析、CL像の観察結果から多様な解釈がされており(Liu et al., 2008; Nutman et al., 2009; Wu et al.,2008, 2009)、38億年前の年代値を示す岩石が存在していたのか、未だ多くの議論がされている。
本研究では、東山地域の花崗岩質片麻岩露頭の詳細な観察を行い、その片麻岩中のジルコンの局所分析から、その原岩形成年代の再検討を行った。詳細な露頭観察の結果、(1)雲母に富む苦鉄質岩、(2)粗粒な薄灰色花崗岩質片麻岩、(3)粗粒な白色花崗岩質片麻岩と(4)若い粗粒な花崗質脈の4つの岩相が存在することがわかった。また、それらの地質学的な関係は(1)雲母に富む苦鉄質岩を、(2)粗粒な薄灰色花崗岩質片麻岩が貫入し、さらに両者を(3)粗粒な白色花崗岩質片麻岩が貫入し、最後に(4)若い粗粒な花崗質脈が全体を貫入していることがわかった。それぞれの岩相から系統的にジルコンを抽出した後、それらのカソードルミネッセンス(CL)像を観察し、オシラトリー累帯構造を残すものを選別した。そして、それらのジルコンの局所U-Pb分析を産総研のLA-ICP-MSを用いて行った。その結果、(1)には3.3 Gaの年代値を示す変成ジルコンのみが含まれていた。(2)に含まれる多くのジルコンは変成作用により若返っているが、3.8 Gaの年代値を示すジルコンが含まれることがわかった。(3)には3.3 Gaの年代値を示すジルコンが多く存在した。(4)には約500 Maの年代値を示すジルコンが存在した。
発表ではジルコンのCL像、LA-ICP-MSによるU-Pb年代分析、さらに、HfやO同位体分析、ジルコンや全岩のREE分析の結果に基づき、原岩の形成年代や複数回の花崗岩の貫入イベントについて考察を行う。