日本地球惑星科学連合2016年大会

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口頭発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-PT 古生物学・古生態学

[B-PT06] 顕生代生物多様性の変遷:絶滅と多様化

2016年5月26日(木) 10:45 〜 12:15 301A (3F)

コンビーナ:*磯崎 行雄(東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻広域システム科学系)、澤木 佑介(東京工業大学大学院 理工学研究科 地球惑星科学専攻)、座長:澤木 佑介(東京工業大学大学院 理工学研究科 地球惑星科学専攻)

10:45 〜 11:00

[BPT06-01] エディアカラ紀に左右相称動物存在の証拠はあるか? モンゴル西部のエディアカラ系生痕化石からの新知見

*大路 樹生1Dornbos Stephen2矢田 圭吾3長谷川 精1Sersmaa Gonchigdorj5,4望月 貴文5 (1.名古屋大学博物館、2.University of Wisconsin-Milwaukee、3.名古屋大学環境学研究科、4.モンゴル科学技術大学、5.岩手県立博物館)

キーワード:エディアカラ紀、左右相称動物、モンゴル

従来、エディアカラ紀に左右相称動物の証拠が存在するかどうかについて、多くの議論がされてきた。しかし動物対そのものの化石についても、生痕化石についても、確実に左右相称動物の証拠は見つかっていない。エディアカラ系からは、原生動物や刺胞動物の作った生痕は見つかっているが、深く垂直に彫り込み、U字状の形態をもつ生痕は見つかっていなかった。我々はモンゴル西部のエディアカラ系上部の複数の層準より垂直構造を持つ、Arenicolitesに同定される生痕化石を見いだした。これらはおそらくU字状の管を持ち、生息した動物体はその一方で採餌し、一方で排泄を行う形態が示唆される。すなわち前後方向に長く伸びた形態を有した動物であり、左右相称動物であった可能性が高い。モンゴルは当時低緯度地域に存在していたと考えられ、他地域に先駆けて動物進化が進行していたと考えられる。