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[BPT07-P01] 新潟県に分布する秋吉帯青海石灰岩におけるコノドント及び微小化石について
キーワード:微化石、古生代、秋吉帯、青海石灰岩、コノドント
遠洋環境は地球上で最も広い生物の生息環境であるが、我々の古生代に関する遠洋環境の生態系への理解は限られている。演者らは、遠洋環境における古生代後期の生態系を明らかにするため、コノドントや有孔虫、貝形虫やその他の微化石についての検討を行っている。今回演者らは秋吉帯の青海石灰岩(新潟県)から得られた微化石について、予察的な研究報告を行う。秋吉帯はペルム紀に形成された付加体であり、九州北部(福岡県)から本州の北部(新潟県)にかけて点在している(Kanmera et al., 1990)。秋吉帯は海山上で堆積したと考えられる巨大な石灰岩体とその下部に伴う玄武岩質火山岩類で特徴づけられる。これらの石灰岩体は一般的に塊状で、明瞭な層構造は見られず、粗粒な石英粒子は欠如している。これは石灰岩の堆積場が大陸から遠く離れた大洋中に位置していたからである。海山は海洋プレートの冷却によって次第に沈降していき、礁を形成する生物は生息位置を維持するために上方に成長していく。したがって、海山型石灰岩は前期石炭紀から中期ペルム紀の間のおよそ一億年間の遠洋域の生物と環境の変遷を記録していると考えられる。岩相や生層序学的な特徴に基づくと、これらの石灰岩体はサンゴやコケムシ、藻類、腕足類、アンモナイトなどの造礁性生物により形成されている。生物礁は例えば外礁や内礁のような地形的に多様な環境があり、多くの生物がそこに生息していることが知られている(橘川, 1994)。
新潟県青海町に分布する青海石灰岩は秋吉帯の最北端部にあり、青海川沿いに幅およそ2 km、長さ8 kmと細長く分布している (長森ほか, 2010)。青海石灰岩における古生物学的な研究は古くから行われ、有孔虫類 (Igo, 1960; Watanabe, 1973: Kobayashi, 1988; Ueno and Nakazawa, 1993)、コノドント(Igo and Koike, 1964; Watanabe, 1975)、サンゴ(Rowett and Minato, 1968; Yshidaet al., 1987; Yoshida and Okimura, 1992; Niko and Hasegawa, 2000; Niikawa, 2001)、腕足類(早坂,1918; 田沢ほか, 1983; Tazawa et al., 2004)、コケムシ(Sakagami, 1962, 1963)、コニュラリア(牧口, 1993)などである。本研究の目的は、酸処理で得られた微化石について検討を行うことで、コノドント生層序についての再検討を行うとともに、後期古生代の大洋上における微小生物群について明らかにしていくことである。石灰岩試料は、明星セメント株式会社糸魚川工場と電気化学工業株式会社青海工場の田海鉱山と青海鉱山から採取された。
今回の検討によりコノドント、軟骨魚類の歯、貝形虫、小型有孔虫、コケムシ、ウニの棘、ナマコの骨片、石灰藻類、海綿の骨針や同定不能な化石が得られた。コノドントはDeclinognathodus属、Idiognathoides属、Idiognathodus属、Streptognathodus属、Neognathodus属、Mesogondolella属などBashkirian–Moscovian(石炭紀後期)の年代のものが得られた。薄片観察に基づいた石灰岩の岩相では、ライムマッドストーンやグレインストーンが卓越していることが確認された。ライムマッドストーンは非常に細粒な石灰泥からなり、少量の生物片を含んでいる。グレインストーンではスパーライトの基質中に、生物片やウーイドが密集することで特徴付けられる。このような微岩相が水平的にも層序的にも連続的することが観察されるため、これらの石灰岩は石炭紀後期に背礁部で堆積したと考えられる。したがって、微小生物群は当時遠洋域の背礁部において多様化していたと考えられる。
新潟県青海町に分布する青海石灰岩は秋吉帯の最北端部にあり、青海川沿いに幅およそ2 km、長さ8 kmと細長く分布している (長森ほか, 2010)。青海石灰岩における古生物学的な研究は古くから行われ、有孔虫類 (Igo, 1960; Watanabe, 1973: Kobayashi, 1988; Ueno and Nakazawa, 1993)、コノドント(Igo and Koike, 1964; Watanabe, 1975)、サンゴ(Rowett and Minato, 1968; Yshidaet al., 1987; Yoshida and Okimura, 1992; Niko and Hasegawa, 2000; Niikawa, 2001)、腕足類(早坂,1918; 田沢ほか, 1983; Tazawa et al., 2004)、コケムシ(Sakagami, 1962, 1963)、コニュラリア(牧口, 1993)などである。本研究の目的は、酸処理で得られた微化石について検討を行うことで、コノドント生層序についての再検討を行うとともに、後期古生代の大洋上における微小生物群について明らかにしていくことである。石灰岩試料は、明星セメント株式会社糸魚川工場と電気化学工業株式会社青海工場の田海鉱山と青海鉱山から採取された。
今回の検討によりコノドント、軟骨魚類の歯、貝形虫、小型有孔虫、コケムシ、ウニの棘、ナマコの骨片、石灰藻類、海綿の骨針や同定不能な化石が得られた。コノドントはDeclinognathodus属、Idiognathoides属、Idiognathodus属、Streptognathodus属、Neognathodus属、Mesogondolella属などBashkirian–Moscovian(石炭紀後期)の年代のものが得られた。薄片観察に基づいた石灰岩の岩相では、ライムマッドストーンやグレインストーンが卓越していることが確認された。ライムマッドストーンは非常に細粒な石灰泥からなり、少量の生物片を含んでいる。グレインストーンではスパーライトの基質中に、生物片やウーイドが密集することで特徴付けられる。このような微岩相が水平的にも層序的にも連続的することが観察されるため、これらの石灰岩は石炭紀後期に背礁部で堆積したと考えられる。したがって、微小生物群は当時遠洋域の背礁部において多様化していたと考えられる。