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[BPT07-P02] 石川県白山市瀬戸野の手取層群石徹白亜層群桑島層の海成層と化石
キーワード:手取層群、桑島層、放散虫、ベレムナイト
手取層群石徹白亜層群における海成層の存在が近年注目を集めている.石川県白山市瀬戸野の石徹白亜層群桑島層中に海成層が発達することが,堆積相とカブトガニ行跡化石に基づいて報告されている(松岡ほか,2009).また,カブトガニ行跡化石を覆う凝灰岩は,130±0.8 MaのU-Pb年代を示す(Kusuhashi, 2008).瀬戸野の桑島層中の海成層は,手取層群においては珍しく,層序と堆積環境,数値年代の対応が明確な層準の一つである.そこで,海成とされた層準を対象に,堆積相解析とともに微化石の抽出を試み,2層準から放散虫化石と海綿骨針化石を得た.放散虫化石は,岩石薄片下でのみ観察され,涙の滴型の個体でジュラ紀-白亜紀のある時期を示す.海綿骨針化石は,湾曲の著しい一軸型の骨針で主に構成される.これらは,白亜紀古世中葉の海生の微化石としては手取層群で初めての確認となり,今後の放散虫生層序の適用や古環境解析への貢献の可能性を示唆する.この他,カキ類Ostreidae gen. et sp. indet.を伴うMyrene (Mesocorbicula) tetoriensisの密集層を新たに確認した.また,同地域からはベレムナイト化石を含む砂岩転石が発見されており,海成層が別層準にも存在する可能性がある.