日本地球惑星科学連合2016年大会

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ポスター発表

セッション記号 B (地球生命科学) » B-PT 古生物学・古生態学

[B-PT08] 化学合成生態系の進化をめぐって

2016年5月26日(木) 15:30 〜 16:45 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*ジェンキンズ ロバート(金沢大学理工研究域自然システム学系)、渡部 裕美(海洋研究開発機構)、延原 尊美(静岡大学教育学部理科教育講座地学教室)、間嶋 隆一(国立大学法人横浜国立大学教育人間科学部)

15:30 〜 16:45

[BPT08-P01] 長野県中部中新統別所層の冷湧水炭酸塩岩より産出するシロウリガイ類の種多様性

*宮嶋 佑典1延原 尊美2小池 伯一3 (1.京都大学大学院理学研究科、2.静岡大学教育学部、3.信州新町化石博物館)

キーワード:Pliocardia、Adulomya、オトヒメハマグリ科、中期中新世、冷湧水

シロウリガイ類は新生代を通じて冷湧水域における主要な動物として進化・繁栄を遂げてきた.同一湧水域内での現生シロウリガイ類の複数種の共存は,硫化水素濃度や塩度,水温への嗜好性の違いによると考えられているが(Barry et al., 1997; Watanabe et al., 2013),化石シロウリガイ類の複数種の共存とその要因についてはあまり議論されていない.長野県に分布する中部中新統別所層は背弧海盆内の陸棚斜面に堆積した泥岩からなり,多様なサイズの冷湧水成炭酸塩岩を包含する.別所層からはこれまでAdulomya uchimuraensisおよび”Calyptogena akanudaensisが知られていたが,本発表では”C”. akanudaensisの属の帰属を再検討し,さらにPliocardia sp.,Adulomya sp. の2種のシロウリガイ類化石を新たに報告する.これら計4種のシロウリガイ類の産出頻度は炭酸塩岩のサイズによって異なる.すなわち,直径20 m以上の大規模な炭酸塩岩体からは,多数のA. uchimuraensisのほかに,”C”. akanudaensisPliocardia sp. がまれに産出する.直径1 mほどのより小さな岩体では”C”. akanudaensisが相対的に豊富に産出し,A. uchimuraensisを伴う.数cmサイズの小炭酸塩コンクリーションを含むシルト岩からは,Adulomya sp. が散在的に多数産出する.これらの炭酸塩のサイズの違いは湧水のフラックスや持続期間の違いを示唆しており,別所層内でのシロウリガイ類の種多様性は湧水場間での湧水活動の違いを反映している可能性がある.