日本地球惑星科学連合2016年大会

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ポスター発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-02] 災害を乗り越えるための「総合的防災教育」

2016年5月22日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*中井 仁(小淵沢総合研究施設)、宮嶋 敏(埼玉県立深谷第一高等学校)、根本 泰雄(桜美林大学自然科学系)

17:15 〜 18:30

[G02-P04] 防災教育の観点からみた石巻市立大川小学校被災

*林 衛1 (1.富山大学人間発達科学部)

東日本大震災以前から市民に提供されていた石巻市ハザードマップでは,新北上川沿いの沖積平野に河口から3.5kmもの津波遡上が予測され,明示されていた。同震災で最大級の被災の現場となった大川小学校は,浸水域予測範囲のわずか0.5km上流に立地していた。地震津波発生のしくみの多様性,潮の干満などを考えれば,高低差のない平野部での0.5kmは「誤差の範囲」といってよい。ハザードマップには,体感する震度に比して巨大津波をもたらす津波地震への注意書きもあった。つまり,公的にマグニチュード8を想定した宮城県沖地震(連動型)においても,大川小学校の津波による浸水は予見の範囲外にあったとはいえないのである。
避難訓練やマニュアルの整備の重要性が強調されているが,現実の災害は想定どおりとはならない。想定から想定外が予見できる大川小学校被災の事例などから,地球惑星科学の知見があってもいかされない自然災害の人災的側面に関する教訓を導き出す。
文 献
林 衛:中学校「理科」で震源モデルを学びたい—大川小児童の思いを語り継ぐためにも,地震学会モノグラフ第4号「学校・社会による地震知識の普及」(2015)
地震学会(http://zisin.jah.jp/)出版物・資料ページからダウンロード可
林 衛:有権者教育のための理科知識・批判的思考力 : 石巻市立大川小学校津波被災の原因,2015年10月日本理科教育学会北陸支部大会(金沢大学) http://hdl.handle.net/10110/14685 からダウンロード可
『市民研通信』(電子版)
林 衛:大川小事故検証委員会はなぜ混迷を続けるのか
http://archives.shiminkagaku.org/archives/2014/01/post-468.html
林 衛:大川小事故検証委員会はなぜ混迷を続けるのか(その2)
http://archives.shiminkagaku.org/archives/2014/02/2-11.html