11:00 〜 11:15
[G03-08] 大学の学園祭におけるアウトリーチ活動の効果と課題:千葉科学大学学園祭での「きのこ展」の事例
キーワード:アウトリーチ、きのこ、菌類、展示
アウトリーチとは元来「手を差しのべること」という概念であるが,多様な場面で,一般に広く情報提供することを目的として行われるさまざまな活動が含まれる。科学研究の分野でのアウトリーチ活動には,講演会・シンポジウム,野外観察会・ワークショップ,高大連携,行政・市民・NPO等との連携活動が挙げられる。これらのアウトリーチ活動は研究成果の社会への公開を促進する役割を担っており,科学研究に社会貢献が求められる現在,アウトリーチ活動を充実させることは重要である。千葉科学大学危機管理学部環境危機管理学科の糟谷研究室では,菌類,特に担子菌類(きのこの仲間)の系統分類学や生物地理学を主な研究対象としている。当研究室では教育研究活動の一環としてさまざまな教育普及を行い,きのこや菌類の基礎的知識や,自然界および社会における菌類の重要性について広く一般に周知し,社会における菌学研究の重要性をアピールする活動を行っている。これまでに当研究室では,小中学生を対象とする野外でのきのこ観察会,高校生の探究活動の支援,アマチュアきのこ愛好家の活動支援等を行ってきた。さらに,日本全国の自治体,博物館やきのこ会等と連携して,一般を対象とするきのこ観察会や講演会等の活動にも取り組んでいる。これらの活動の一つとして,2014年と2015年には千葉科学大学の学園祭「青澄祭」において「きのこ展」を開催した。「きのこ展」では,野生きのこの生標本や乾燥標本のほか,栽培きのこの展示や,生態写真展示を行った。また,顕微鏡観察の体験や,きのこの折り紙づくり体験等の企画も行った。「きのこ展」当日は,来場者に対して当研究室の教員や学生が展示内容について解説を行った。本講演ではこの「きのこ展」を事例として,大学の学園祭において実施するアウトリーチ活動が来場者に与える効果と課題について考察する。