17:15 〜 18:30
[G03-P03] 3次元震源分布表示アプリの開発
キーワード:震源分布、3D、アプリ
日本列島下には太平洋プレートやフィリピン海プレートが沈み込んでおり,それに伴い地震活動が起こっていることは専門家ではなくとも一般的に知られている.しかし,プレートに沿わない場所でも地震活動は起こっており,プレート形状も単純ではない.地震活動を把握するためには,2次元の地図や鉛直断面図に地震分布を投影して表示するのが一般的であるが,3次元的な分布をイメージするのは簡単ではない.そこで,我々は専門家以外でも日本列島付近のどの場所でどのような地震が起きているのかをプレート形状とともに簡単に確認できるアプリを開発した.
アプリはiPhoneやiPadのiOS向けに開発を行う.モバイル端末を用いるのは,パソコンよりも手軽に使えることや,マウスではなく指で直感的に3次元空間を動かすことが可能なためである.また,これらの端末では,2014年に発表されたMetalというグラフィックスAPIにより,高いGPU性能を発揮することができるようになった.開発言語はSwiftであり,SceneKitという3Dゲーム向けフレームワークを用いる.震源情報のサンプルとして,2015年9月のHi-net震源カタログを用いる.
まず,端末に保存された任意の期間の震源カタログを読み込む.このとき,深さとマグニチュードの範囲を指定することが可能である.読み込まれた地震の深さとマグニチュードに色と大きさを対応させた球形のオブジェクトを作成し,緯度・経度・深さから計算される位置に配置する.プレート形状の数値データは,GMTのtriangulateコマンドで三角網を作成し,COLLADAフォーマットに変換したものを端末に保存しており,アプリ起動時に読み込ませる.また,ETOPO1を用いて地形も同様に端末に保存した.地形の3次元オブジェクトには,標高で色付けした画像と海岸線のみの画像のどちらかを選択して貼り付けることができる.表示された3次元プロットは,指で回転・拡大縮小・移動を行うことができる.個々の震源の球形オブジェクトには震源情報を持たせており,画面上でタップすることにより,その地震の発生時刻、深さやマグニチュードを表示させることができる.
3次元表示がどの程度軽快に行えるかの指標として,単位時間当たりに描画される回数を表すフレームレート(fps)を用いる.今回テストとして,iPhone 6とiPad Airを用いた.1日分(約450個)の震源を表示させた場合のフレームレートは,それぞれ,(iPhone, iPad) = (60, 45) fpsとなり,非常になめらかに動かすことができた.1週間分の地震(約3200個)では,(30, 18) fpsとなり,1か月分(約12800個)では,(11, 5) fpsとなった.5fpsでも機能面の問題はないが,カクカクとした動きになり,動作が重たい印象を与える.
今回はサンプルの震源カタログを用いたが,今後はHi-netにログインして気象庁一元化カタログをダウンロードできるようにし,好きな期間の震源分布を表示できるようにする予定である.
謝辞:プレート形状の数値データは弘瀬冬樹博士のwebページで公開されているものを使用させて頂いた.
アプリはiPhoneやiPadのiOS向けに開発を行う.モバイル端末を用いるのは,パソコンよりも手軽に使えることや,マウスではなく指で直感的に3次元空間を動かすことが可能なためである.また,これらの端末では,2014年に発表されたMetalというグラフィックスAPIにより,高いGPU性能を発揮することができるようになった.開発言語はSwiftであり,SceneKitという3Dゲーム向けフレームワークを用いる.震源情報のサンプルとして,2015年9月のHi-net震源カタログを用いる.
まず,端末に保存された任意の期間の震源カタログを読み込む.このとき,深さとマグニチュードの範囲を指定することが可能である.読み込まれた地震の深さとマグニチュードに色と大きさを対応させた球形のオブジェクトを作成し,緯度・経度・深さから計算される位置に配置する.プレート形状の数値データは,GMTのtriangulateコマンドで三角網を作成し,COLLADAフォーマットに変換したものを端末に保存しており,アプリ起動時に読み込ませる.また,ETOPO1を用いて地形も同様に端末に保存した.地形の3次元オブジェクトには,標高で色付けした画像と海岸線のみの画像のどちらかを選択して貼り付けることができる.表示された3次元プロットは,指で回転・拡大縮小・移動を行うことができる.個々の震源の球形オブジェクトには震源情報を持たせており,画面上でタップすることにより,その地震の発生時刻、深さやマグニチュードを表示させることができる.
3次元表示がどの程度軽快に行えるかの指標として,単位時間当たりに描画される回数を表すフレームレート(fps)を用いる.今回テストとして,iPhone 6とiPad Airを用いた.1日分(約450個)の震源を表示させた場合のフレームレートは,それぞれ,(iPhone, iPad) = (60, 45) fpsとなり,非常になめらかに動かすことができた.1週間分の地震(約3200個)では,(30, 18) fpsとなり,1か月分(約12800個)では,(11, 5) fpsとなった.5fpsでも機能面の問題はないが,カクカクとした動きになり,動作が重たい印象を与える.
今回はサンプルの震源カタログを用いたが,今後はHi-netにログインして気象庁一元化カタログをダウンロードできるようにし,好きな期間の震源分布を表示できるようにする予定である.
謝辞:プレート形状の数値データは弘瀬冬樹博士のwebページで公開されているものを使用させて頂いた.