日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-03] 地球惑星科学のアウトリーチ

2016年5月22日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*植木 岳雪(千葉科学大学危機管理学部)、長谷川 直子(お茶の水女子大学)、大木 聖子(慶應義塾大学 環境情報学部)

17:15 〜 18:30

[G03-P10] オーロラと人間社会の過去・現在・未来

*片岡 龍峰1 (1.国立極地研究所)

人類は古くからオーロラ等の天の異変を観察して記録に残し、現代では多くの人がデジカメで撮影したオーロラ写真をインターネットに掲載している。本研究の目的は、人々が残したこれらの資産を自然科学に活かすことである。実際に取り組んでいることは、1)歴史的な古文献中のオーロラ記録のアーカイブ、2)市民参加型のオーロラ監視データの収集と公開、であり、その現状は専用ウェブサイト https://aurora4d.jp で確認できる。本研究では、世界的なオーロラの拡大に伴う宇宙災害を軽減する必要性の中で、人文系と自然科学系の研究者の連携と、市民参加によってのみ発見可能となる新しいデータを生み出している。なぜ、どう思って記録していたのか、という当時の人々や世界背景も興味深い。例えば私が面白いと思った記述で、天変は不吉なものとも限らなかったいう例がある。「をりをり草」の中ではオーロラは悪い予兆とも限らずもしかすると豊作になるかもしれないと喜んだ人もいたようだ、と日記が終わっている。なぜこういうこと書いたのか、と人文系の先生たちと話せば話すほど深みを感じる喜びを共有して研究ができる。「市民参加型」と「SNS利用」といった、今ならではの新要素は、知の個人プレーが腕の見せ所だった赤気研究の常識を破壊し、集まるはずのなかった仲間が集まり、新分野を実践的に考察する場としても興味深いと思われる。講演では、この「オーロラ4Dプロジェクト」で実践中のアウトリーチ的な取り組みについて紹介する。