日本地球惑星科学連合2016年大会

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セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-03] 地球惑星科学のアウトリーチ

2016年5月22日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*植木 岳雪(千葉科学大学危機管理学部)、長谷川 直子(お茶の水女子大学)、大木 聖子(慶應義塾大学 環境情報学部)

17:15 〜 18:30

[G03-P15] 定時制高校・土曜講座「地球惑星科学概論」から広げる学ぶ力

*久好 圭治2,1谷口 真基2江菅 純一2 (1.大阪大学大学院理学研究科宇宙地球科学専攻、2.大阪府立春日丘高等学校)

キーワード:定時制高等学校、土曜講座、公開講座、地球惑星科学概論

本校は大阪北部JR茨木駅から程近い場所にある定時制高校である.大阪府立の定時制高校は,全学年および他校生を対象とする土曜講座を開講しており,本校では3年前より土曜講座および一般対象の公開講座として「地球惑星科学概論」を設置し,年に15回,1回2時間(90分)の講義を行っている.
生徒の興味・関心を引き出すような,地球や惑星,宇宙全般,生命現象などを主軸に,物理・化学・生物・地学の枠にとらわれない科目横断的な視点で,最新の研究成果を提供している.広い視野で既成概念にとらわれることのない学習態度を養いつつ,単一の科目ではできない議論を重ねている.自ら学び・考える力とそれを発信する力を育成するための一層の工夫が必要と考えている.
毎回の講座は,担当教諭だけでなく,大阪大学,鳴門教育大学,JAXAや津山高専などと連携し質の高い講義を提供できるように努めている.また,専門的に研究を続けている高校教員などにもその分野の話題を提供してもらっている.さらに大阪大学大学院理学研究科宇宙地球専攻寺田研究室で開催されるセミナーに担当教諭が毎週参加をさせていただき,最新の研究に触れ問題解決の手法を学んでいる.教員が継続的に学び続けることができる更なる方法を模索している.
今年度から「地球惑星科学概論」に続いて「探究」という講座を設置する.定時制の特徴として,異年齢(現在は15から50歳代)の様々な生活環境を抱えた生徒が学んでいる.そのため,世代や環境の違いを越えた視点・発想による深い学び・発見が生まれ,生徒の科学的能力及び技能並びに科学的思考力,判断力及び表現力を培うことにおいて,大きな効果が期待できる. その中に小中学校の教員を巻き込んで課題研究を行っていこうと考えている.
未解決の問題に取り組み,解明していく課題研究を通して,科学の手法と客観的に自然現象を捉える態度が身につくと考えている.論理性を要求し,判断において恣意的な取捨選択をせず,客観性を保ち権威には頼らない態度を養っていける.そのため,予想と異なる研究結果が出た場合,失敗として捉えるのではなく,その原因を追究する等,研究成果を次の研究の礎にすることが可能となる.それが定時制高校の生徒を中心とした教育に非常に有効であり,体験学習的な探究活動とは一線を画していく.