日本地球惑星科学連合2016年大会

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ポスター発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-04] 小・中・高・大の地球惑星科学教育

2016年5月22日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*畠山 正恒(聖光学院中学高等学校)

17:15 〜 18:30

[G04-P01] 学校などで行う液状化現象のモデル実験についての再考

*山田 伸之1坂井 孝平1 (1.福岡教育大学)

キーワード:液状化現象、モデル実験

近年自然災害に対する関心は高くなっており,自然災害のメカニズムを簡単に学習できる実験およびその性質から対策までをあわせて学べる教材の必要性が挙げられている。地震災害の1つには,地震の強い揺れによって引き起こされる液状化現象がある。この現象については,土木や建築など多くの分野で詳細な研究がなされているが,学校現場でのモデル実験を簡易的に教師や児童生徒が実際に実験を行おうとした場合,実験に使用する用具や土・水などに関する具体的な記載が少なく,よく分からないことが多い。また,液状化現象モデルの実験キットが市販されてはいるが,全般的に高価であり,複数の実験セットを用意することは難しいと考えられる。そこで,本研究では,学校で行う理科実験の一つとして,手軽に,そして経費をかけずに液状化現象のモデル実験を行うことができるようにするために,手動による振動台,土砂や水の量,実験の仕方(揺らし方)などを検討し,それらを明示することとした。
砂や水を入れる容器にはどこの理科室にもあるようなプラスチック製の丸型水槽を用い,振動台は,球と段ボールで構成した極めてシンプルなものとした。球を用いたため,振動を与えることが容易でかつ,任意の水平振動を与えることができる。初期検討においては,近隣の海岸(宗像市内)の砂を用いた。ここでの液状化現象の再現と判断する条件は,ある程度一定の振動を与えた後に,容器内の砂の表面において1)重りが沈むこと,2)水が出ること,3)気泡が出ること,の3つの状態が現れたときとした。今回は,主に,砂1,000cm**3あたりに要する最小の水の量,単位時間あたりの振動回数(揺らす速さ)の検討を行った。その結果,前者については,470ml±20mlとなり,後者については,100回/30秒となった。さらに,そのほかの場所で採取した砂・土についても,類似現象が見られるか否かなどの検討についても報告する。
本研究では,手動での加振であり,目視による判断によるところが大きいため,精密さについては劣るものの,これらの明示により,ある程度の液状化類似現象を表せることができ,実験を容易なものにすることの一助となると考えられる。
なお,この研究は,JSPS科研費 基盤研究(C)(課題番号:25350206)の一部を活用いたしました。記して感謝いたします。