日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 G (教育・アウトリーチ) » 教育・アウトリーチ

[G-04] 小・中・高・大の地球惑星科学教育

2016年5月22日(日) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*畠山 正恒(聖光学院中学高等学校)

17:15 〜 18:30

[G04-P04] 部活動で取り組むフィールド調査におけるクラウド活用

*松岡 東香1上村 剛史2 (1.筑波学院大学情報経営情報学部経営情報学科、2.海城中学・高等学校)

キーワード:地学教育、フィールド調査、クラウドサービス

地球環境問題や自然災害への社会的関心の高まりを背景に,学校教育におけるフィールドサイエンスはその重要性を増している。しかしながら,地学の履修率低下や知識教育優先の傾向から,フィールドサイエンスを授業として実施できる機会は極めて少ない現状にある。そのような教育環境にあって,科学系の部活動は,フィールドサイエンスを実践する貴重な場となっている。なかでも,部活動によるフィールド調査などは大いに推奨されるべきだが,その活動特性により,困難も付きまとう。通常の学校行事とは違い,休日に行われることが多いフィールド調査では,実施に向けた機材の準備,スケジュールの調整などを学生部員と相談しながら進める必要があるが,通常の例会内では収まらないことも多く,欠席者への伝達や回答待ちも発生するなど,担当する部長や顧問である教員への負荷は大きくなる傾向にある。一方で,これを回避するために部長や教員が一方的にスケジューリングや準備を進めてしまうと,学生部員の士気は下がり,結果としてフィールドサイエンスに対する興味を削ぐことにもなりかねない。そこで,本研究では,部活動におけるスケジューリングや情報の共有/伝達にクラウドを導入し,所属する学生部員同士が情報の交換や共有を行い,フィールド調査の実施日時や準備等を自主的に行えるシステムの構築を試みた。研究を実施した海城中学高等学校地学部は中学1年から高校3年生までが在籍しており,研究を始めた年度からの在籍者数は,45名(2012年度),47名(2013年度),45名(2014年度),42名(2015年度)である。同地学部では,クラウドによる情報共有/伝達システムの導入により,フィールド調査のスケジューリングやデータ共有が円滑に行われた。また,部長を中心として自主的運営に対する意識の高まりも見られた。一方で,下級生を中心に,情報リテラシやスキルの個人差により,情報の流れに乗れない部員が認められるなど,問題点も明らかになった。本大会では,具体的な事例とともに,これまでに蓄積した知見について報告する。なお,本研究の一部には科学技術振興機構『中高生の科学部活動振興プログラム』の支援金を利用した。