日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

インターナショナルセッション(口頭発表)

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG10] International comparison of landscape appreciation

2016年5月23日(月) 13:45 〜 15:15 101A (1F)

コンビーナ:*PETROVA ELENA(Lomonosov Moscow State University, Faculty of Geography)、Rupprecht Christoph(Environmental Futures Research Institute, Griffith University)、高山 範理(国立研究開発法人 森林総合研究所)、座長:PETROVA ELENA(Lomonosov Moscow State University, Faculty of Geography)

14:15 〜 14:30

[HCG10-03] Tourists’ Attitude toward Nature Preservation Activities at Hulun Lake Nature Reserve in Inner Mongolia

*韓 国栄1古谷 勝則1 (1.千葉大学大学院園芸学研究科)

キーワード:Nature Reserve, Nature Preservation Activities , Tourists, Attitude

はじめに
中国では自然保護区制度を,生態系や生物多様性,自然資源,景観保全の効果的な保護手段として使用している。2000年から始まった「西部大開発」の影響により,内モンゴルの自然保護区では観光開発が行われ,経済的な効果が認められている。しかし,観光利用をエコツーリズムへ転換し, 観光客の生態系への理解,自然保護活動を促進するのが自然保護区内の観光管理の一つの課題である。また,観光客の自然保護活動を促進するには,観光客の意識を把握する必要がある。呼倫湖自然保護区は,中国の内モンゴル自治区フルンボイル市に位置する国家級自然保護区である。そこで、本研究では呼倫湖自然保護区における自然保護活動に対する観光客の意識を把握し、観光客の自然保護活動に参加要因を明らかにすることを目的とした。
研究方法
呼倫湖自然保護区を訪ねた観光客を対象に、2015年8月末から11月中旬にかけて意識調査を実施した。意識調査はアンケート方式で1536 名の有効回答を得た。意識調査では,回答者の属性と、自然保護活動に対する意識を4段階(強くそう思う、そう思う、そう思わない、強くそう思わない)で回答してもらった。
結果
回答者の属性では男性749名,女性787名であった。回答者の72%は高校以上の学歴であった。回答者の内30代、40代の観光客は一番多く,45%であった。回答者の職業は、公務員などの職業に就いているが最も多く43%であり, 学生は29%,無職と農牧民の合計が38%であった。回答者の69%は漢民族であり,24%はモンゴル民族であり,ロシア、エオンキ等ほかの民族は7%であった。回答者の55%は内モンゴル以外の国内観光客であった。
観光客の回答した「強くそう思う」と「そう思う」の合計値でみてみると、「1.活動を通して自然や緑地の大切さを他の市民に伝えられる(98%)」の回答が最も多く,次に「5.動植物に癒され、リフレッシュできる(81%)」、「2.動植物の観察といった自分の趣味が行える(81%)」、「6.風景や遊び場として良好な緑地空間が残せる(80%)」、「3.地域の雇用が増え、地域の経済が活性化する(78%)」であった。観光客の回答した「そう思わない」と「強くそう思わない」の合計値では、「4.自然や緑地保全に対する知識や技術が深まる(34.6%)」であった。
本研究では、中国内モンゴル呼倫湖自然保護区における自然保護活動に対する観光客の意識を明らかにできた。