日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-CG 地球人間圏科学複合領域・一般

[H-CG25] 原子力と地球惑星科学

2016年5月24日(火) 13:45 〜 15:15 304 (3F)

コンビーナ:*笹尾 英嗣(国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 東濃地科学センター)、佐藤 努(北海道大学工学研究院)、吉田 英一(名古屋大学博物館)、座長:笹尾 英嗣(国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 東濃地科学センター)

14:30 〜 14:45

[HCG25-16] 緩衝材中のオーバーパックの沈下を引き起こす未検討のメカニズム

*新 孝一1 (1.一般財団法人 電力中央研究所)

キーワード:オーバーパック沈下、化学的変形、ベントナイト、圧力溶解、人工バリア、放射性廃棄物地層処分

放射性廃棄物の地層処分の方法として、深部岩盤内に化学的に安定で透水性の低いベントナイトなどからなる緩衝材中に、廃棄体容器を埋設する概念が検討されている。廃棄体の平均的な比重は6~7程度で緩衝材よりかなり重いため、沈下して緩衝材の機能を損ねるシナリオに対し検討が行われている。既往の沈下の評価では、廃棄体容器の沈下を緩衝材の力学的な変形の観点から検討している。
本発表では、地層処分技術の分野でこれまで検討されていない緩衝材の化学的な変形による沈下の概念を提起する。ここで化学的な変形とは、緩衝材を構成する鉱物の圧力溶解と拡散による物質移動、沈殿を通じた変形である。このような化学的な変形は、地殻において様々なスケールで生じている現象であることを既往研究をレビューして示す。また、地層処分の深度領域においても生じる現象であることを既往研究のレビューを通じて示す。
100万年にもわたる将来を評価する必要のある地層処分においては、廃棄体容器の沈下についてこの化学的変形の観点からも検討する必要がある。