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[HCG28-P01] クエ飼育排水を用いたクビレズタの培養と物質吸収の推定
キーワード:クエ、クビレズタ、閉鎖循環式養殖システム、排水利用、飼育廃棄物、水質
閉鎖循環式陸上養殖システムは、排水処理の部分に問題を持ち、近年ではその排水処理に経済的価値の高い海藻類の培養を組み合わせ、環境への負荷を軽減させる技術の確立が目指されている。本研究では海産魚のクエEpinephelus bruneusとクビレズタCaulerpa lentilliferaを供試生物として用いて、クエの飼育排水および緑藻の強化倍地であるPES原液を肥料として、総水量50 Lの水槽で28日間のクビレズタの培養実験を行った。培養期間中は水温およびpHをそれぞれ28℃および8.0以上に保ち、光周期は12 L:12 Dとした。また、クビレズタの塩分耐性を調べるために、塩分は32 psuと36 psuの2種類に設定した。これらの培養の結果、クエ排水区(32 psu)で成長がもっともよく、比成長率(SGR)は7.16となり、この値は他のPES区(32 psu)と同程度であることが示された。一方で、すべての試験区を通してPES区(36 psu)でもっとも成長が悪く、SGRは5.27となった。培養実験に加えて本実験ではクエ飼育排水、飼育廃棄物およびクビレズタに含有される元素量を誘導結合プラズマ発光分析装置(SPS7800, エスアイアイ・ナノテクノロジー(株))および全有機炭素計(TOC-VCSH, (株)島津製作所)に取り付けた全窒素ユニット(TNM-1, (株)島津製作所)を用いて測定した。この結果より、クエ飼育排水を用いてクビレズタを培養することが可能であることが示され、また、クエ飼育排水と飼育廃棄物を組み合わせることによって、クビレズタ培養に必要な元素の大半を満たすことができるということが明らかとなった。このことから、クエ飼育排水と飼育廃棄物の混合液にマンガン、銅、ホウ素の3元素を混合液1 Lあたりにそれぞれ189.9 μg、99.4 μgおよび157.5 μg加えることによって、混合液を不足量の無いものとすることができるということが示された。