日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

インターナショナルセッション(ポスター発表)

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS05] Landslides and related phenomena

2016年5月26日(木) 15:30 〜 16:45 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*千木良 雅弘(京都大学防災研究所)、王 功輝(京都大学防災研究所)、今泉 文寿(静岡大学農学部)、ペットレイ デイビット(東アングリア大学)

15:30 〜 16:45

[HDS05-P04] Detection of the 2015 Gorkha earthquake-induced landslide surface deformation in Sunkoshi River watershed, Nepal using InSAR images

*佐藤 浩1千木良 雅弘2鄒 青穎3 (1.日本大学文理学部、2.京都大学防災研究所、3.弘前大学農学生命科学部)

キーワード:landslide, earthquake, Nepal, Gorkha, Synthetic Aperture Radar

2014年8月2日、スンコシ川がジュレ村付近の大規模地すべりで閉塞された。ジュレ村から約2km下流では、合成開口レーダーSAR (Synthetic Aperture Radar)干渉画像の判読により、斜面にわずかな変動が認められた。現地調査よれば、変動が確かに認められ、現地の住民によると、2015年ネパール、ゴルカ地震で生じたとのことであった。SAR干渉画像はALOS-2 (Advanced Land Observing Satellite-1)/PALSAR-2 (Phased Array type L-band SAR)データから生成され、2015年2月21日(地震前)と2015年5月2日(地震後)に観測されたものである。生成にはRinc 0.47ソフトウェア(小澤 2014)を用いた。PALSAR-2データのパスとフレームはそれぞれ156と550であり、観測モードはストリップマップ・ファイン[10m]モードであった。SAR干渉画像から地形の影響を取り除くため、90m解像度の数値標高モデルSRTM DEMを使ったが、SAR干渉画像の処理において、DEMの解像度を45mに内挿補間した。現地調査によれば、岩屑が斜面から押し出され(写真1a)、写真1bに示すように、いくつかの亀裂が変動斜面の頂部付近に認められた。そして、現地で計測したところ、変動量は約10cmであった。SAR干渉画像の判読によれば、衛星視線方向に沿った変動量は、12cm未満と見積もられた。そのため、両者の変動量は調和的であった。今後は、DEMの高解像度化など、SAR干渉画像におけるノイズを、より一層低減していく。本稿で用いたPALSAR-2データについては,東京大学地震研究所の特定(B)「新世代合成開口レーダーを用いた地表変動研究」の枠組みでJAXAから支給されたものを利用した。また、本研究は科学技術振興機構JRapidプロジェクトの2015年ネパール地震に関連した「ネパール大地震による山地斜面災害の現状把握と復興計 画策定のための斜面災害評価図の作成」(研究代表者: 京都大学千木良教授)の費用の一部を使った。
○参考文献 小澤 拓(2014): 防災科研におけるInSAR解析ツールの開発-その3-. 2014年日本地球惑星科学連合大会予 稿, STT59-P12. http://www2.jpgu.org/meeting/2014/session/S-TT59.html