日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

インターナショナルセッション(ポスター発表)

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS05] Landslides and related phenomena

2016年5月26日(木) 15:30 〜 16:45 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*千木良 雅弘(京都大学防災研究所)、王 功輝(京都大学防災研究所)、今泉 文寿(静岡大学農学部)、ペットレイ デイビット(東アングリア大学)

15:30 〜 16:45

[HDS05-P08] Effects of active fault types on earthquake-induced deep-seated landslides

*陳 麒文1,2飯田 智之1山田 隆二1 (1.国立研究開発法人防災科学技術研究所、2.東京大学空間情報科学研究センター)

キーワード:deep-seated landslides, earthquake, reverse fault, strike-slip fault, hanging wall, foot wall

日本地すべり学会の分科会により収集された地震による過去の深層崩壊事例情報と活断層詳細デジタルマップや地震調査研究推進本部や産総研などによる活断層情報を比較検討したところ,以下のことが判明した.
1)逆断層型の地震による深層崩壊のほとんどは,活断層からの距離20km以内の範囲で比較的均等に発生していた.一方,横ずれ断層型の地震による深層崩壊は,8割以上が活断層からの距離5km以内の狭い範囲に集中していた.
2)逆断層型の地震による深層崩壊は,大多数(25例中24)が上盤側で発生していた.
3)縦ずれ成分を伴うと推定される横ずれ断層型地震に関しても,逆断層型と同様に深層崩壊の多くが上盤側で発生していた.
1)に関して,家屋や構造物を対象とした地震工学の分野では,横ずれ断層による地震被害が逆断層による地震被害よりも断層近くのより狭い範囲に集中して発生することが知られているが(佐藤・平田,2000,科学,vol.70,No.1,58-65など),深層崩壊についても同様のことが確認された.2)に関しては,逆断層の上盤側は下盤側よりも地震動が大きく,深層崩壊がより多く発生することが最近の事例によって明らかになっているが(ハスバートルほか,2010,平成22年度砂防学会研究発表会概要集,48-49など),過去の事例についても同じことが確認された.
以上の結果から,地震による深層崩壊予測に際しては,震源断層からの距離だけでなく,活断層の型(逆か横ずれか正か)や上盤か下盤かなどを考慮する必要がある.また,主に構造物を対象として多用されている距離減衰式(司・翠川,1999,日本建築学会構造系論文集, 第523号, 63-70)についても同様の配慮が必要であろう.