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[HDS17-01] 三重県熊野市ツエノ峰周辺にみられる山上凹地およびせき止め湖の埋積堆積物下の基盤構造:ボーリング調査・電気探査・地震波探査の統合解析結果
キーワード:ツエノ峰、山体重力変形地形、物理探査
山体が重力の作用により変形することによって形成される山体重力変形地形の一部は,深層崩壊の前兆現象であることが示され注目されている.一方,その一部は数万年にわたって安定して存続し続けている.両者を識別することは防災上重要な課題であるが,まだ研究事例が少なく一般化するには至っていない.三重県熊野市のツエノ峰周辺には,山上凹地,せき止め湖などの地すべり関連地形が認められる.両者とも堆積物に覆われているため,形成時期の特定や形成後の周辺環境の変遷の推定が可能である.一方,その基盤構造は堆積物のために明瞭ではない.基盤構造を推定するためにボーリング調査・電気探査・地震波探査を行った.山上凹地では約15m離れた2地点において,深さ約7.5mと9mのボーリングを掘削した.岩相はいずれも,上部約1mが有機質な泥層で,その下部に厚さ5m程度の灰色〜黄土色の泥層が堆積し,最下部には基盤岩直上に堆積したと思われる粘土基質の礫層が認められる.長さ9mのコアの深度0.8m, 4.3m, 7.7mには火山灰層が挟まれ,それぞれ,姶良Tn(28-30ka),九重第1(50ka),鬼界葛原(95ka)テフラと同定された.せき止め湖を埋積した堆積物は約7.5mを掘削したが,基盤岩には到達しなかった.厚さ約2.5mの地表露頭とあわせて10mほどの湖底堆積物を得た.岩相は塊状の黄褐色粘土層で下部では礫まじりとなる.テフラの純層は認められなかったが,全ての層準でアカホヤ火山灰(7.3ka)起源と思われる再堆積火山ガラスが確認できた.電気探査と地震波探査は,山上凹地の尾根と直交する方向に2測線,せき止め湖の河川流路に平行に1測線,直交方向に2測線を設けて行った.電気探査と地震波探査の結果は概ね調和的で,基盤岩,地すべり移動体,線状凹地堆積物,ダム湖堆積物を明瞭に区別することができた.