日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-DS 防災地球科学

[H-DS17] 湿潤変動帯の地質災害とその前兆

2016年5月24日(火) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*千木良 雅弘(京都大学防災研究所)、小嶋 智(岐阜大学工学部社会基盤工学科)、八木 浩司(山形大学地域教育文化学部)、内田 太郎(国土技術政策総合研究所)

17:15 〜 18:30

[HDS17-P06] 斜面崩壊発生に土層内の水みち・封入空気が及ぼす影響に関する実験

*田中 健貴1内田 太郎1桜井 亘1長井 斎2笹山 隆2戸館 光2 (1.国土技術政策総合研究所、2.株式会社建設技術研究所)

キーワード:斜面崩壊、水みち、間隙水圧

降雨のピーク時刻付近に斜面崩壊の発生が集中するメカニズム、崩壊土砂が急速に流下するプロセスについては、様々な研究が行われてきたが、依然として定説を得るに至っていない。これまでの斜面崩壊発生箇所の調査結果によると斜面崩壊発生箇所において,パイプ状の孔隙(以下,水みち)が見られることが報告されており,水みちによる選択的な水流が降雨ピーク時付近の急激な安全率の低下に寄与している可能性が示唆されている。具体的には、水みちによる選択的な水の流れにより土層内の間隙水圧の局所的な高まりが斜面崩壊の発生に影響を与えていることを指摘されてきた。また他の可能性としては、土層内の封入空気により生じる土層内に過剰な間隙圧が降雨ピーク時付近の急激な安全率の低下に寄与している可能性も指摘されてきた。
以上を踏まえ、土層内に水みちが存在する場合に選択的な水流や土層内の封入空気が斜面崩壊に与える影響について人工斜面模型を用いた実験により検討した。実験は図に示す模型を用いて実施し,人工土層内には塩化ビニル樹脂で作成した人工的な水みちを設置した。なお水みちには2㎝間隔で孔径4㎜の穴を空け,土層には20㎝間隔でマノメータを設置した。給水は斜面の上流端からのみ給水を行うケース,上流端からの給水および人工降雨装置から降雨を与えるケースの2つの方法を用いた。斜面土層の上流端は仕切られ給水槽に接続しており、上流端の給水槽は一定の水位を保てるようにした。さらに、水みちの上流端は別のタンクに直接接続し、水みち上流端の水位を制御できるようにした。実験は順次、土層への水供給用の給水槽の水位を上げ、崩壊発生の条件・発生状況を観察した。
また、本研究では土層内の封入空気が地表面から抜けにくくするために、硅砂を土層表面に敷いたケースについても実験を行った。さらに、水みちにバルブを取り付けることで閉塞できる構造とし、給水途中で水みちが閉塞したケースを想定し、水みちのバルブを閉めるケースも実験に加えた。