17:15 〜 18:30
[HDS19-P10] 気象庁防災情報XMLを活用したデータベース検索型津波浸水予測システムの試作
キーワード:津波、即時予測
南海トラフ巨大地震などによる大規模津波災害の場合,人命救助のために,災害応急体制を迅速かつ適切に構築し,対応を開始しなければならない.このため,津波の浸水範囲などの情報を可能な限り早く把握することが求められる.半日から1日程度経過すれば,被害の全貌がヘリコプターなどによる調査によって明らかになってくるものの,半日までの間はリアルタイム観測情報に基づく予測に頼るほかない.本研究では,この実現を目的として,徳島県を対象としたデータベース検索型の津波浸水予測システムの開発を行っている.本システムの基本的な設計は気象庁の量的津波データベースを用いた津波警報システムに似ている.震源位置とマグニチュードを検索キーとして,予め構築しておいたデータベースから最適なシナリオを抽出し,予測結果を提示する.最大の違いは,津波警報は沿岸の津波高の予測にとどまっているが,本システムは最大浸水深分布と啓開が必要な道路まで予測する点にある.地図上に浸水分布を表示する必要があるため,プラットフォームはオープンソースのJoruriDmsを採用した.JoruriDmsは徳島県などですでに採用されている災害時情報共有システムで,GIS機能のみならず,災害時の自治体の対応をサポートする様々な機能を備えている.これまでに,南海トラフで発生するM6.5からM9.0のすべりの空間的不均質性をある程度考慮した約220断層シナリオを定義し,地形分解能約10mで徳島県全沿岸部を対象とした津波浸水計算を実施,結果をデータベース化した.シナリオ抽出は,ある震源とマグニチュードに対してどのシナリオを選ぶかを定義したロジックツリーを予め作り,リアルタイムで配信される気象庁防災情報XMLに基づいて行われる.さらに,これでは破壊域の広がりの情報が欠如しているし,津波地震には対応できないため,一旦,震源とマグニチュードで検索した後,続報の気象庁防災情報XMLに掲載されている津波観測情報を基に,シナリオ再検索し,浸水予測を更新する機能も付け加えた.発表では本システムの詳細と,さらなる高度化に向けて,断層シナリオの拡充,検索アルゴリズムの高度化,地震津波観測監視システム(DONET)データの活用についての方針を紹介する.
なお,本研究は総務省「G空間防災システムとLアラートの連携推進事業」の一部として実施されました.
なお,本研究は総務省「G空間防災システムとLアラートの連携推進事業」の一部として実施されました.