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[HGG12-P05] 平成27年関東・東北豪雨による茨城県常総市東部の浸水
キーワード:洪水、常総市、鬼怒川、浸水深
平成27年9月に発生した関東・東北豪雨により茨城県常総市では市の東部を中心に深刻な浸水被害が発生した。同市若宮戸で9月10日6時頃から発生した堤防からの越水と、12時50分頃に上三坂で発生した堤防決壊により流入した洪水は、自然堤防上に立地する石下の市街地を全面的に浸水させた。その後、八間堀川沿いに徐々に南下した洪水によって10日夜には水海道の中心市街地で浸水が始まり、11日13時には周囲の広い範囲が浸水した。著者らが建物等に残る浸水痕から確認した最大浸水深は、石下の越水・破堤地点付近の自然堤防で1.0 m以下だが、洪水堆積物が認められ、流れの中心にあったと考えられる地点では最大 1.5 m程度と大きくなる傾向にある。氾濫原ではより深く浸水し、八間堀川沿いに位置する沖新田町や十花町仲新田では2.5 m以上となり、南に向かうほど浸水深は大きかった。これは、南下した洪水が水海道周辺の自然堤防に遮られて滞留したためであろう。石下地区の市街地での浸水期間は短く、少なくとも11日朝までには解消された一方、水海道地区の浸水期間はより長く、新八間堀川北側の集落では少なくとも13日朝まで、八間堀川沿いの集落では16日頃まで浸水が続いた。河川堤防や寸断された道路の復旧作業は被災後すぐに始まったが、洪水が引いたあとも洪水堆積物や漂着ゴミの清掃に追われ、未だ再建途上の家庭や事業所も多い。また、1.5 m以上の浸水が発生した病院や学校などの重要施設もあったことから、具体的な水害対策に向け、被害実態の記録と適正な評価が必要である。