日本地球惑星科学連合2016年大会

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口頭発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GG 地理学

[H-GG13] 自然資源・環境の利用と管理

2016年5月25日(水) 13:45 〜 15:15 101A (1F)

コンビーナ:*上田 元(一橋大学・大学院社会学研究科)、大月 義徳(東北大学大学院理学研究科地学専攻環境地理学講座)、座長:大月 義徳(東北大学大学院理学研究科地学専攻環境地理学講座)、上田 元(一橋大学・大学院社会学研究科)

14:15 〜 14:30

[HGG13-03] 中国内モンゴル呼倫湖自然保護区における自然保護活動に対する地域住民の意識

*韓 国栄1古谷 勝則1 (1.千葉大学大学院園芸学研究科)

キーワード:自然保護区、自然保護活動、地域住民、意識

はじめに
中国では自然保護区制度を,生態系や生物多様性,自然資源,景観保全の効果的な保護手段として使用している。自然保護区の地域住民の自然保護活動を促進するには,地域住民の意識を把握する必要がある。呼倫湖自然保護区は,中国の内モンゴル自治区フルンボイル市に位置する国家級自然保護区である。主に,草原生態,内陸湿地・水域生態や野生生物を保護対象としている。面積は,日本の熊本県の面積に相当する7,400kmある。自然保護区に居住する住民は伝統的な放牧生活をしており,草原を放牧地として利用していた。そこで、本研究では呼倫湖自然保護区における自然保護活動に対する地域住民の意識を把握し、地域住民の自然保護活動に参加要因を明らかにすることを目的とした。

研究方法
呼倫湖自然保護区の地域住民を対象に、2015年8月末から11月中旬にかけて意識調査を実施した。意識調査はアンケート方式で759名の有効回答を得た。意識調査では,回答者の属性と、自然保護活動に対する意識を4段階(強くそう思う、そう思う、そう思わない、強くそう思わない)で回答してもらった。

結果
回答者の属性では男性373名,女性386名であった。回答者の41%は高校以上の学歴であった。回答者の職業は、農牧民が最も多く80%であり, 学生は13%,無職と公務員などの職業に就いているが合計が7%であった。回答者の4%は漢民族であり,94%はモンゴル民族であり,ダウル、エウェンキ等ほかの民族は2%であった。回答者の47%は右旗の地域住民であり,33%は左旗の地域住民であり,20%は満州里の地域住民であった。
地域住民の回答した「強くそう思う」と「そう思う」の合計値でみてみると、「1.活動を通して自然や緑地の大切さを他の市民に伝えられる(98%)」の回答が最も多く,次に「5.動植物に癒され、リフレッシュできる(82.7%)」、「6.風景や遊び場として良好な緑地空間が残せる(82.5%)」、「3.地域の雇用が増え、地域の経済が活性化する(81.4%)」、「2.動植物の観察といった自分の趣味が行える(79.6%)」であった。地域住民の回答した「そう思わない」と「強くそう思わない」の合計値では、「4.自然や緑地保全に対する知識や技術が深まる(31.8%)」であった。

本研究では、中国内モンゴル呼倫湖自然保護区における自然保護活動に対する地域住民の意識を明らかにできた。