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[HGG13-06] タンザニア・メル山地域の農地林業と小径木化
キーワード:農地林業、生計、タンザニア
熱帯地域の各国における森林外での材木生産,とくに小農民による農地林業は,自然林や造林地への利用圧力を減らし植被減少を緩和するものとして,注目されている。加えて,農地林の樹木は貯蓄機能をもち農村生計を支えるだけでなく,小農民による製材・販売は立木に価値を付加して伐倒後の再造林を促すとともに,製造業ほかに原料を供給して地域経済を活性化しうる。このため,在村製材の現状に,環境的,経済的な関心が向けられている。タンザニアでは,地面に穴を掘って製材場所を設け,地面に丸太を置いて手鋸で製材する低費用なピット製材が,古くから小規模に行われてきた。この方法は,挽き目幅が狭くロスが少ないものの,労働生産性が低いだけでなく,小径・湾曲丸太の製材に向かないため,丸太回収率は低い。他方,チェーンソー製材は挽き目幅が広く木材回収率は低いものの,小径のものを含めて丸太の形状を選ばず丸太回収率が高く,可搬性も高いため,ピット製材に取って代わりつつある。本発表では,タンザニア北部,メル山地域における在村製材の諸類型について報告するとともに,需要増大と成熟木減少によって農地樹木が小径化し,チェーンソーの普及がその製材を可能にして伐倒を促し,再造林サイクルを短縮して農地林の小径木化を助長しているという仮説について検討する。