日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

インターナショナルセッション(ポスター発表)

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GM 地形学

[H-GM01] Geomorphology

2016年5月23日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*島津 弘(立正大学地球環境科学部地理学科)、瀬戸 真之(福島大学うつくしま福島未来支援センター)

17:15 〜 18:30

[HGM01-P02] Response to the uplift of a single channel in mountain rivers: Laboratory experiments

*飯島 荘太1遠藤 徳孝1 (1.金沢大学自然科学研究科)

キーワード:downward erosion, lateral erosion, profile

山岳河川の発達を考える上で、下刻と側刻が発生するタイミングや順序について知ることは極めて重要であるが、これについては未だにわかっていない。隆起を受けた山岳河川網の挙動についてモデル実験を行った先行研究では、実験領域全体の時間あたりの侵食量が隆起量と釣り合ってから地形凹凸の側方移動が活発になる」と述べられているが、この報告は流域全体を真上から写真で観察したことによるもので、流路単位で調べたものではなく、この点について検証した例は非常に少ない。そこで本研究は、モデル実験を用いて、山岳地域におけるチャネルが隆起を受けた際の詳細な変動プロセスを明らかにすることを目的とし、単一チャネルに観察対象を絞り、高精度の測定を行った。
実験は2回(実験AとB)行い、1回の実験につき、隆起(ベースレベルからの上昇)は下流端に設けられた堰を1cm単位で2度下げることによって発生させた。1度目の実験は300分間行い、隆起は標高が安定したと思われるタイミングで発生させた。一方、2度目の実験は260分間行い、チャネルの状態に関係なく、1度目とほぼ同じタイミングで隆起を発生させた。
結果は一部を除いて、チャネルは、隆起の発生後に生じた遷急点が通過するまでは下刻により標高を低下させ続け、その後側刻が発生するというような挙動が観察された。流域全体の土砂収支に基づいた先行研究の観察事実と矛盾しない。ただし、流路内をより細かく局所的に見るとその限りではないこともわかった。例えば、実験Bの2回目の隆起の直後、下刻による標高の低下が収まるよりも早く側刻が発生したが、これは隆起を発生させる直前の縦断面の状態が不安定であったことに起因すると考えられる。また、実験Aおよび実験Bの1回目の隆起では、上流部はしばらくの間下刻が発生しなかったが、これは、流れの中に浸食ツールとして含まれる堆積物の量が少ないためと考えられる。
今後勾配や流量、砂の量比等を変え、複数回更に実験を重ねる必要があると思われる。