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[HGM14-07] 梓川上流における降雨,水位変動,地形変化の関係
キーワード:降雨流出、水位変動、地形変化、インターバル撮影カメラ、梓川上流、上高地
長野県西部,北アルプス南部を流れ下る梓川の上流は幅の広い谷底平野の中にある礫床網状河川となっている.この区間では1年~数年に1度の頻度で河床地形の変化が起こる.降雨の状況と出水,水位上昇の関係を明らかにするとともに,それらと地形変化の関係を明らかにすることを目的として,2011年7月以降,インターバルカメラを設置して,15~20分間隔(秋季は30分,冬季は2~3時間間隔)での撮影によって河床の観察を続けてきた.結果は次の通り.降雨の開始から30分後には水位が上昇し始める.また、降雨の減少に素早く反応して水位の低下が起こり,数時間後には上昇前の水位に戻る.比較的流域面積が大きく,源流からの距離が12kmに達する流域でも関わらす,降雨応答と降雨終了後の水位低下が速い.降雨量に対する水位上昇量は梅雨明けの7月下旬までとそれ以降で大きく異なる.梅雨時期では日降水量80mm程度の降雨で中州がほぼ水没する程度の流路における50cm以上の水位上昇が生じるのに対し,それ以降では日降水量140mmを超える降雨でも同程度の水位上昇にとどまる.地形変化は河道のほとんどの部分が水没し,河道内での最大水位が1mに達する出水で生じた.しかし,インターバルカメラ設置以降にとらえられた大きな地形変化は166mmの日降水量を記録した2013年6月19日のみであり,今後の検証も必要である.梓川上流が位置する上高地谷は数10m以上の厚さがある砂礫層からなることから,砂礫層中に蓄えられた水の状態と,降雨によって集まる水との関係がこのような出水の特徴を形成したと考えられる.