日本地球惑星科学連合2016年大会

講演情報

ポスター発表

セッション記号 H (地球人間圏科学) » H-GM 地形学

[H-GM14] 地形

2016年5月23日(月) 17:15 〜 18:30 ポスター会場 (国際展示場 6ホール)

コンビーナ:*島津 弘(立正大学地球環境科学部地理学科)、瀬戸 真之(福島大学うつくしま福島未来支援センター)

17:15 〜 18:30

[HGM14-P04] 落水線解析からみた表層崩壊発生位置を特徴づける地形条件

*松本 一希1須貝 俊彦1 (1.東京大学大学院新領域創成科学研究科)

キーワード:2014年広島土砂災害、表層崩壊、地形条件、地形解析、落水線

数値標高モデル(DEM)の高解像度化により,小規模な表層崩壊においても,DEMを用いて地形量を詳細に検討することができるようになった.しかし,DEMの空間分解能が表層崩壊の規模を上回ったことで,研究目的に応じて,表層崩壊を構成するセル群と,崩壊を取り巻くセル群をどのように抽出し,地形解析を行うかが,新たな検討課題となりつつある.本研究の目的は,表層崩壊発生地における地形量の特徴を抽出することである.そこで,本研究では,崩壊地を通る落水線を設定し,その線上にあるセル群を対象として数値解析を行った.
調査地域は2014年8月に土砂災害が多発した広島県広島市安佐北区・安佐南区である.本地域では,崩壊発生前の5mメッシュDEMが国土地理院によって整備されている.
解析にあたっては,落水線を構成するセル群のうち,崩壊地の最高標高点を含むセルを崩壊地源頭部とし,崩壊地源頭部に隣接するセルのうち,山頂(尾根)側のセルを崩壊地上方隣接部,谷側のセルを崩壊源頭下方接続部として,解析を行った.しかし各セルのみによる評価では,局所的な値の増減を過大評価している可能性がある.そこで源頭部・上方隣接部・下方接続部の計算セルを3セルと5セルに設定した移動平均についても検討した.
検討した地形量は傾斜・累積流量・断面曲率である.累積流量はあるセルに流れ込む仮想的な水の量を示す指標である.また断面曲率は垂直断面形の区分に利用した.
崩壊地における傾斜と累積流量 には弱い負の相関性が見られた(r=-0.35,計算セル長さ1の場合).この傾向は計算するセルの長さを変えても共通して見られ,相関係数に大きな変化はなかった.
落水線の垂直断面形に注目すると,崩壊源上方隣接部から下方接続部にかけての断面形(凹型・凸型・等斉型)において,崩壊が発生しやすい変化パターンが存在することが示唆された.