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[HGM14-P06] 房総丘陵の「川廻し」から推定した小河川の下刻速度
キーワード:下刻速度、岩盤河床、川廻し、旧河床
下刻は,側刻や遷急点の後退と同様に,流域地形発達の先駆的な性質を有していると考えられる。このため下刻プロセスの定量化は,流域における地形発達を解明するための一助となるであろう。本研究では,房総丘陵において,江戸時代以降行われた「川廻し」によって無能河川化した河床面を利用して下刻速度を推定した。無能河川河床(旧河床)は短絡後河食作用を受けず旧地形面を保存していることから,現河床との比高は下刻量を示している。一方,無能河川化以降現在までの時間は,この下刻作用の継続時間とみなすことができる。つまり,現・旧河床面の比高と川廻しの時期を得ることで,平均下刻速度が推定できる。本研究では,既存文献および史料より流路の短絡時期が推定できる川廻し地点,8地点を研究対象に選定した。これらは,約4~32 km2の流域面積を有する中小河川に位置し,いずれも新第三紀から第四紀の堆積岩からなる岩盤河床である。それぞれの地点において,現・旧河床面の比高を計測して下刻速度を求めた結果,0.7~22.1(平均5.8)mm/yrが得られた。これらの差異は,下刻速度が水理条件や河床を構成する岩盤の物性などによって制約を受けているためと推察される。